来年1月の名門ACミラン入りが決まった日本代表MF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)が年俸7億7000万円という破格の条件でミランに迎えられることが12日、分かった。合意している諸条件が判明。年俸550万ユーロ(約7億7000万円)で契約期間は3年半。年俸の総額は出来高などのオプション分を除いても合計約27億円。超VIP待遇で、低迷するミランの救世主として迎えられる。本田はこの日モスクワから成田空港着の航空機で帰国した。

 本田は黒ずくめのいでたちで4年間過ごしたロシア・モスクワから帰国した。サングラスからベルト、靴まで真っ黒だった。赤と黒、イタリア語でロッソ(赤)・ネロ(黒)と呼ばれ世界に知られるあのユニホームをまとい、ついにミランの一員となる。その事実がミランの公式サイト上で明らかになってから約15時間。12日正午ごろに航空機で成田空港に到着した。

 待ち受ける報道陣の「お帰りなさい」の問いかけに表情も口元さえ緩めることなく、真っすぐ前を向いて無言で歩いた。黄色い声援も浴びた到着ロビーでは、求めに応じペンを走らせサインした。そのまま事務所関係者と空港関係者に守られるようにして迎えの黒い車に乗り込んだ。ひと言も発することはなかった。

 ある意味、言葉はいらない。低迷するミランが、どれほど本田を欲しているかはその年俸が示している。この日、日刊スポーツの取材でミランと本田サイドが合意した条件が判明。欧州屈指の名門は「救世主」として破格の年俸7億7000万円で合意していることが分かった。

 両者合意を示す書面に記されている年俸欄にはユーロで「5500000」とあるという。契約期間は17年6月30日までの3年半。単純計算でミランから契約期間中、本田が受け取る年俸の総額は約27億円に上る。この年俸は勝利給などの成果プレミアムを一切含んでおらず、最高で10億円に届くとみるミラン関係者もいる。税込みのため、手取りでは4億5000万円となる。欧州でプレーする日本代表でも屈指の高額。まさに超VIP待遇だ。

 背景にはCSKAとの契約が切れ移籍金ゼロで本田の望むクラブに加入できるという、特殊な状況があった。移籍をまとめ上げた代理人で本田の兄弘幸氏は日刊スポーツの取材に「ミランは熱心で、最後まで選手本人をどうしても獲得したいという熱意にあふれていた」とだけ口にした。移籍金ゼロとなるこの冬を狙って本田のもとに獲得オファーを出したクラブは10を超えた。争奪戦を熱意と年俸という誠意で、ミランが制した形になる。

 年俸はある意味、プロスポーツ選手の価値を示す一番分かりやすい数字だ。本田は、自らの生きざまを示す時に使う「成り上がり」を体現した。05年に名古屋入り。高卒ルーキーとして新人C契約の年俸450万円でスタート。08年にオランダ1部VVVと41万ユーロ(当時のレートで約6560万円)で契約。10年のCSKAモスクワへの完全移籍で、約3億円まで跳ね上がりついに7億7000万円を勝ち取った。

 初めてプロ契約してから9年で年俸は約170倍になったことになる。子どもたちに夢を持つことの大切さを説き、自らは「W杯優勝」の目標を公言する本田が、ビッグクラブから超ビッグな契約を勝ち取った。