[ 2014年2月10日8時56分

 紙面から ]4位に終わった鈴木(右)と3位に入った町田(撮影・PNP)<ソチ五輪:フィギュアスケート>◇9日◇団体男女フリー、アイスダンスフリー

 今大会から始まった団体戦で、期待された日本は5位に終わった。男子フリーで町田樹(23=関大)が165・85点で3位となり、順位点8点を獲得。イタリアを抜いて3位の米国に3点差と迫る4位に浮上した。しかし、女子フリーで鈴木明子(28)が4位に終わり順位点を上積みできず。最後のアイスダンスでもリード姉弟がふるわず、8種目の順位点合計51点でメダルを逃した。記念すべき初の金メダルはロシアだった。

 逆転メダルへの思いは、届かなかった。男子の高橋も合流し、チームジャパンの力で挑んだ最終日。だが、フリーに挑んだ男子の町田、女子の鈴木に細かなミスが出た。羽生の男子ショートプログラム(SP)首位から始まった初めての団体戦は、5位に終わった。

 前日まで全8種目中5種目を終えて、3位米国と4点差の5位。決してミスが許されない中、最初の町田は冒頭の4回転トーループを完璧に着氷した。20年間ずっと夢見てきた大舞台で、震える足を懸命に動かした。「とにかく緊張した。足も震えたし、今季一番弱い自分が心の底から出てきて、彼との勝負だった」。

 開会式のフィナーレで使われたロシア人作曲家ストラビンスキー「火の鳥」を羽ばたかせようともがいた。だが、2つ目のジャンプで着氷が乱れ、終盤の連続ジャンプにもマイナス評価がついた。フリー3位。イタリアを抜いて4位には上がったが「ボクが1位を取らなければならなかった。取ることができなくて本当に申し訳ない」と謝った。

 続く鈴木も体が動かなかった。昨年3月28日、28歳の誕生日にサプライズプレゼントをもらった。贈り主は浅田と村上。多くの写真が切り抜かれた色紙には「長女明子、次女真央、三女佳菜子」「また梅酒飲もうね」(浅田)「また食べ物ツアー行こうね」(村上)などと書かれていた。半日がかりでつくられた力作に「支え合って頑張らないとと思った」。チームのためにもと、挑んでいた。

 しかし、3回転ループが完全に回転不足となるなど、4つのジャンプで回りきれない。米国のゴールドに及ばぬ4位。ペアとアイスダンスが劣る中、女子SPの浅田も含めて上位確保が必至だった男女シングル3人が、沈んだ。「今まで感じたことのない特別な雰囲気の中で始まり、フリーだけを滑ることも久々。どう持って行けばいいかすごく難しかった」。この時点でメダルは消えた。

 誰もが初めての挑戦は、終わりを告げた。それでも「祭り」のような雰囲気の中で五輪を味わえた。この体験をどう生かすか。それが個人戦の明暗を分ける。