日本人初の100メートル9秒台を期待される陸上の山県亮太(25=セイコーホールディングス)が18日、日本選手権(23日開幕、大阪・ヤンマースタジアム長居)に向けて、慶大の日吉キャンパス(横浜市)で練習を公開した。3月のオーストラリアの大会で右足首を痛め、大一番が3カ月ぶりとなる復帰戦。練習を本格的に再開できたのは5月中旬で、状態は「85~90%」と完璧ではないが「優勝だけを狙いたい」と4年ぶり2度目の頂点を見据えた。

 日本選手権は3枠の世界選手権(8月、ロンドン)男子100メートル代表選考も兼ねる。桐生、ケンブリッジ、多田らハイレベルな争いとなるが、山県は「先行逃げ切り。音が鳴った瞬間先頭を」と青写真を描いた。けがの期間は焦りをこらえ、ウエートトレーニングを週2回から3回に増やし力強さを身に付けた。ケンブリッジに差され0秒01差の2着だった昨年の雪辱を狙う。

 すでにロンドンの参加標準記録を破っており、日本選手権優勝で世界選手権代表に内定。3位以内に入れば選考条件を満たす。「陸の王者 慶應」の横断幕が懸かる母校でパワーアップする25歳が5日後、陸上の王者に返り咲く。【上田悠太】