陸上男子110メートル障害の全国高校チャンピオン、近藤翠月(みづき=新潟産大付)は今春、東海大に進学し24年パリ五輪を目指す。

20年シーズンはコロナ禍をはね返して10月の全国高校陸上(広島)で優勝。11月には県高校新、北信越高校新記録の13秒85をマークした。大学でも数々のハードルをクリアし、目標に到達する覚悟だった。

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近藤の“助走”は始まっていた。学年末テストを終えた3年生は通学免除になったが、東海大進学に備え、陸上部の放課後練習には必ず参加。大学1年の春からロケットスタートする構えだった。

「生活サイクルは崩さない。サボりたくもない」。今年3月、U-20のカテゴリーで出場する日本室内選手権(大阪)が新潟産大付所属の最後のレースになる。昨年U-18で大会新Vを決めた大会だ。高校最後を好成績で締め、大学1年目の目標は日本学生選手権(インカレ)上位入賞。ゴールは24年パリ五輪出場だ。

コロナ禍に見舞われた20年は全国高校総体(インターハ)、国体が中止になった。学校閉鎖などで昨年3月から約3カ月間、ハードリングもできなかった。しかし苦境の中でも近藤は結果を出した。インターハイ代替の全国高校陸上で優勝。11月のデンカ・チャレンジ杯では13秒85の県高校、北信越高校の新記録をたたき出した。「諦めなかった」と高校最後のシーズンを振り返る。

そんな諦めない心が真骨頂だ。高1の7月には右膝遊離軟骨の除去手術。伸び盛りの時期の故障にも心は折れなかった。「故障中もできることを探して最大限のことをやった」。伸び悩んだ高2の春先にはフォーム改善。右のリード足を、空中で少し曲げるハードリング動作に変えて着地をスムーズにした。2年時のインターハイは2位。「陸上で学んだ諦めない心はこれからも生きる」。

08年北京五輪を見て「走るのは楽しそう」と陸上を始めた。五輪はその時からの目標になった。24年パリ五輪は東海大在学中。「日の丸を背負うのが夢」。大学でどんな“障害”が待ち構えていても諦めない心で目標にダッシュする。【涌井幹雄】

◆近藤翠月(こんどう・みづき)2003年(平15)3月28日生まれ、柏崎市出身。陸上は北鯖石小3年から柏崎T&Fで開始。柏崎東中時代は全中4位。高2の国体2位。走り幅跳びの県高校総体2連覇の兄蒼依(あおい)は東海大2年。183センチ、76キロ。血液型B。