東京オリンピック(五輪)のマラソン女子日本代表補欠の松田瑞生(25=ダイハツ)が2時間21分51秒で優勝した。

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自己記録2時間21分47秒には4秒届かなかったが、松田選手が見せた走りの価値はそれ以上のものだった。強風の中だったことを考えると、2時間19~20分の可能性がある走りと言える。フォームや表情に力強さを感じ、最初から最後まで安心して見ていられた。

直前に宮崎合宿で強風の中の練習を経験し、心持ちも良かったはずだ。バランスを崩した選手もいる中で、風を自分のものにした。伸びしろを挙げるとすれば、前半の位置取り。ペースメーカーの横に走る姿から「人の頼りにはならないぞ!」という強い意思を感じつつ「風よけに使うのもいいのでは」と思った。高橋(尚子)さんとも話したが、後ろに回って体力を温存するなど、細かなテクニックを使えば、後半の走りがさらに良くなるはずだ。

強風のマラソンは普段とダメージが全く違い、背中が張ってくると思う。まずはしっかりと疲れをとってほしい。まだまだ強くなる。初マラソンで3位の松下選手は元スピードスケート選手なだけあり、大臀(だいでん)筋や大腿(だいたい)筋が丈夫。アップダウンをうまく走っていた。24年パリ五輪へ、楽しみな存在だ。(04年アテネ五輪金メダリスト)