男子5000メートル決勝は、野沢悠真(利府3年)が14分17秒71の自己ベストで最後の直線勝負を制し、県王者に輝いた。2番手追走から、ゴール約30メートル手前で仙台育英のエース吉居駿恭(3年)を捉え、0秒68差で逃げ切った。

昨年度、県高校ランク13位の野沢が同5位の吉居をゴール直前で見事に差し切った。最終コーナーで1度離されそうになったが負けじと食らいつき逆転した。野沢は「全国でも強い吉居に最後に粘り勝ててうれしい。自信になります」と会心のレースを振り返った。

スタート直後から仙台育英2選手と東北2選手に交じり第1集団を形成。18年全国中学1500メートル覇者で、昨季全国高校駅伝1区7位の吉居にガチンコ勝負を挑んだ。ほかの選手たちが徐々に脱落する中、残り2周から一騎打ち。先行する吉居を向かい風になるバックストレートで風よけにし、直線勝負まで力を蓄えた。レース前の目標は「14分20秒を切って3位以内」と控えめだったが、自己記録を約9秒短縮。西多賀中時代を含め、自身初の県頂点に立った。

1年時は入学直後に右足を痛め、秋まで走れなかった。復帰後は1日最高30キロ以上の距離を踏み、故障しにくい体作りに励んだ。中学3年時は全国都道府県対抗駅伝の県代表に選ばれたが補欠となり、まだ全国出場経験はない。県高校駅伝で負け続けてきた仙台育英2選手を従えて表彰台トップに立った野沢は「もっと体力とスピードをつけて自分でレースを作れる選手になりたい。東北大会6位以内でインターハイ出場を目指したい」と全国デビューを目標に掲げた。【佐々木雄高】