女子1500メートル決勝は米沢奈々香(仙台育英3年)が4分14秒74の自己ベストで日本人トップの2位入賞を決めた。目標にしていた外国人留学生には及ばなかったが、積極的なレース運びで第2集団の競り合いを制し、今季の高校日本人ランキング首位に返り咲いた。

米沢が昨秋の日本選手権2位でマークした自己記録を0秒92短縮して準優勝を飾った。ジャネット・ニーバ(岡山・倉敷2年)が残り2周過ぎから飛び出す中、冷静に第2集団で追走。今季ランキング上位の道清愛紗(兵庫・須磨学園3年)らとの競り合いを制し、日本人トップでゴールした。最終コーナー中間の残り150メートル付近で2位に浮上した米沢は「留学生へのチャレンジを目標にして積極的なレースができました。特にプランはありませんでした。タイムより勝負にこだわりましたが、自己ベストが出てうれしい」と笑顔で振り返った。

社会人をペースメーカーにした昨秋の日本選手権後、自らレースを組み立てることを課題にしてきた。東北高校選手権の3000メートル優勝から中1日で臨んだ今年の日本選手権は高校生トップの座を道清に譲り、10位に沈む悔しさを味わった。その後は体作りから取り組み、ベストの状態で臨んだ全国高校総体。1年時は大会直前に左脛骨(けいこつ)を骨折して棄権。コロナ禍の昨年は大会中止に泣いた。

レース前、釜石慶太監督(34)には「スタートに失敗するなよ。リラックスしてチャレンジしてこい」と送り出された。年末の全国高校駅伝も見据え、U-20日本選手権で優勝した大河原萌花(福島・学法石川3年)、同2位の伊藤瑠音(青森山田3年)とのエース対決も制した。明日31日から3000メートルの挑戦も始まる。米沢は「最初で最後のインターハイ。自分の力を全部出し切って悔いを残さないようにしたい」と全力を尽くす。【佐々木雄高】

<佐藤4位 常盤木初>

女子100メートルは、東北高校選手権で短距離2冠の佐藤美里(宮城・常盤木学園3年)は11秒81で、個人種目では同校初の4位に入賞した。本業は6月のU-20日本選手権で優勝した200メートル。「自己ベストも順位も目標に届かなかったけれど、初めてのインターハイを思い切り楽しんで集中できたことは今後の200メートルにつながる」と雪辱に意欲を見せた。

<東北王者佐賀 不本意4位>

男子100メートルで、東北王者の佐賀陽(あき、青森・田名部3年)は本人も不本意な4位入賞。会場の9・98スタジアム(福井県営陸上競技場)は17年、日本学生選手権で桐生祥秀が日本人で初めて10秒を切った「短距離の聖地」と呼ばれる。佐賀は東北大会決勝で追い風4・2メートルの参考記録ながら10秒17で優勝した。来春進学予定の佐賀は「暑さに弱くて自己ベストも出せませんでした。(将来的には)10秒20を切ってあの感覚を味わってみたい」と飛躍を誓った。

<田中13メートル56で4位>

女子砲丸投げは、田中杏実(青森・青森北3年)が3投目に13メートル56をマークして4位に食い込んだ。自己ベストまでわずか2センチ及ばず、4投目まで表彰圏内で逆転された田中は「すごく悔しい。大学生に向けて再スタートして14メートルを目指したい」と次のステージへと向かう。