女子の仙台育英が、会心の全員区間賞で30連覇を達成した。エースの米沢奈々香主将(3年)が、最長の1区6キロを18分37秒という異次元のタイムで快走。2、3、4区の1年生トリオ、最終5区の杉森心音(2年)まで、首位を1度も譲ることなく、2位東北に7分9秒差をつける1時間7分12秒の完勝だった。男子の仙台育英も、全員区間賞の2時間3分46秒で7連覇。12月26日に京都で開催される全国高校駅伝にアベック出場を決めた。

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米沢が半端ない走りで30連覇をたぐり寄せた。6キロは未経験も、スタートの号砲とともに加速し、一気に先頭へ。最初の1キロを3分7秒、中間地点の3キロを9分19秒で通過。その後も中継所までペースは落ちなかった。「2区以降は後輩たちしかいないオーダー。良い刺激を与え、良い流れをつくれるような走りをしようと思いました」。2位に1分20秒差をつける18分37秒で、2区の須郷柚菜(1年)にタスキを渡した。

想定をはるかに上回った。レース前に釜石慶太監督(34)から言い渡された設定タイムは19分10秒。「自分では19分ちょうどで走り、あわよくば18分台にいければと臨みました」。コースが違うため、単純比較はできないが、昨年の全国高校駅伝の1区(6キロ)区間賞のタイムは19分18秒。自分のペースを貫き、その記録を41秒も上回った。

今夏の全国高校総体では留学生に及ばなかったものの、1500メートルで2位、3000メートルで3位と、ともに日本人トップだった。駅伝でも強さを見せたが「ここがゴールではなく、次の都大路(全国高校駅伝)がゴール。今日は中盤にもう少し粘り強く走れれば良かったですし、ラストの切れだったりをもっと磨き、都大路を迎えたいです」と、さらなる進化を誓う。

主力で昨年の全国駅伝経験者の山中菜摘(3年)が春先の大けがで、吉原あかり(3年)もコンディション不良でメンバーを外れた。それでも米沢と2年生・杉森、即戦力の1年生トリオで完勝した。釜石監督は「やっぱり米沢ですね。とんでもない記録です」と絶賛。米沢は「都大路はどの区間を任せていただいても悔いなく終わりたい。一番の目標は優勝なので、優勝に貢献できる走りをしたいです」。2年ぶりの日本一へ、最強エースが都大路でも無双する。【山田愛斗】

○…男子も女子同様に首位を1度も譲らず、完全優勝を成し遂げた。エース区間の1区10キロは向かい風の中で吉居駿恭(3年)が、利府・野沢悠真(3年)と激しく競り合い、残り300メートルからスパート。6秒先着する29分37秒で区間賞を獲得し、後続に勢いをもたらした。「前半で離せるのがベストだったが、最低限、区間賞という気持ちで走りました」。1年時から3年連続出場となる12月の全国高校駅伝は「1区で全国トップレベルの選手と勝負できるようないい走りをして、優勝に貢献したい」と力強く意気込んだ。