第98回東京箱根間往復大学駅伝(1月2、3日=東京・読売新聞社前~箱根・芦ノ湖、10区間217・1キロ)開幕まで、あと1日となった。箱根路を彩った記憶に残るランナーを紹介する最終5回目は、2009年(平21)大会で現れたスーパー1年生、東洋大の柏原竜二です。

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◆2009年1月2日、5区(小田原~箱根・芦ノ湖23・4キロ)

スーパールーキーが現れた。山登りの5区で、東洋大の柏原竜二(1年)が1時間17分18秒の区間新を樹立し、出場67回目のチームを初の往路優勝に導いた。

トップの早大が通過してから、4分58秒が経過した9番手。逆転は絶望的と思われた小田原中継所で、柏原の心に火が付いた。「行くしかないな」。タスキを受け取ってすぐに、1人を抜いた。最初の5キロを14分台で突っ込んだ。天下の険に勝負を挑んだ。

海抜10メートルから874メートルまで駆け上がる勝負の山登り。頂上までに6人を抜き、最後のターゲットは首位の早大・三輪だけになった。勢いのまま19・2キロすぎに抜き去った。苦手の下りで追い付かれたが、再び振り切った。33年の初出場以来、1度も優勝のない東洋大に、19歳の新入生が往路Vをもたらした。

記録は「山の神」こと今井を47秒も上回る1時間17分18秒の区間新。「時計が間違っていたんじゃないかと、今も思います。超えた実感が全然ありません」。往路の勢いのまま、東洋大は初の総合優勝を飾った。

なお柏原は5区を4年連続で走り「2代目山の神」としてすべて区間賞に輝いている。

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