コールマンは、タイム(10秒09)以上の強さがあった。

とにかく1歩、どんと蹴った時の推進力、その速さは、一緒に走った選手にとって驚きだっただろう。

身長175センチで日本人に近い身長だが、股関節の伸展(しんてん)のスピードがすごく速い。ストライドは大きく、足の回転も速い。パワーと柔軟性が備わっていて、大きく、速く動かせる。室内(60メートル)のタイムもいいし、加速力はストロングポイントでもある。

彼にとって、国立競技場は特別なものがあると思う。ウオーミングアップも念入りで、このトラックでしっかり走ろうというやる気を感じた。そしてウオーミングアップから速かった。

東京五輪に出ていれば、当然、男子100メートルの中心になっていただろうし、9秒7台、8台でコンスタントに走れる選手でもある。

小池は、4月の織田記念同様、自分のストロングポイントを出せている。しっかりとレースの中に入っていく、後半に伸びていく。それが彼の良さ。爆発的にトップを走るというのではなく、接戦の中で勝機を見いだしていくタイプだ。

コロナ禍で中国・杭州アジア大会が延期になるなど、選手にとって調整、目標を明確に絞ることがメンタル的にも厳しいと思う。男子100メートルは、ここまでサニブラウンの10秒08がタイムで最もいい。彼が走ってくることで、桐生、多田らのスイッチが入るのではないか。また200メートルの選手が充実している。200メートルの層が厚くなっていることで、100メートルにいい影響を与えることを期待する。

今大会はお客さんが入っていることに、新鮮味を感じた。100メートル決勝で「オン・ユア・マークス」からの静寂。久しぶりに100メートルの雰囲気だと感じた。東京五輪を開催した国立競技場。来るだけで楽しみにしているアスリートもいた。実際にテレビでしか見られなかったファンの方々も足を運んで、あらためてこの競技場のスケールの大きさ、陸上の素晴らしさを感じてもらえたのではないだろうか。(男子100メートル元日本記録保持者)

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