男子100メートルで元日本記録保持者で9秒98の自己ベストを持つ桐生祥秀(日本生命)は、10秒27(追い風風1・1メートル)で6位に終わった。

「持ち味の中盤からのトップスピードが、全開のときと比べたら全然足りない」と、力を発揮できなかった。準決勝では10秒24の組4着だったのものの、タイムで拾われて決勝に滑り込んだ。

薄氷の準決勝突破を経て「今日の決勝を走る前に勝ちたいと思えた。昨日の準決勝からギリギリ日本選手権通って、今まで勝たないといけないと思ったのが、勝ちたいに変わった」と気持ちの面で変化があった様子。「それは今後に生きると思うけど、ちょっと疲れました」と心境を語った。

故障明けで臨んだレースだった。4月の出雲陸上で右太ももに違和感を覚え、同月の織田記念、5月のセイコー・ゴールデングランプリ(GGP)を欠場。1カ月近く休養にあてて、2週間ほどの短期間で調整を進めてきた。

今後については「プロなのでどんどん試合に出ないといけないが、ちょっと考えたい」と気持ちを整理する。「昔だったらもっと感情が出ていた。悔しいと思うし、こんな冷静じゃなかった。大人になって良かったと思えるかは今後の結果次第かなと思う」と話した。

◆世界選手権の内定条件 男子100メートルは参加標準記録(10秒05)を突破した上で、今回の日本選手権で3位以内に入れば代表に内定する。大会前の時点で標準記録を突破している選手はいなかったが、準決勝でサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)が10秒04を記録した。