陸上の世界選手権(15日開幕、米オレゴン州)で日本人初の個人3種目に出場する田中希実(22=豊田自動織機)が10日、現地への出国を前に成田空港で取材に応じ「どう転ぶか分からないが、後ろを向かずにぶつかっていきたい」と意気込んだ。

東京五輪で8位入賞した1500メートルに加えて、800メートルと5000メートルに出場する。仮に全ての種目で決勝進出を果たせば、大会10日間で8日間に出走する過密日程。異例の挑戦となるが「私の場合は、気持ちが疲れてなかったら体は疲れない方だと思う」と力強い。得意の1500メートルは初日に予選、2日目に準決勝、4日目に決勝が行われる。「最初の1500メートルの流れ次第。1500メートルでうまくはまれば、その後の種目もうまく乗れると思っている」とポイントを挙げた。

会場のヘイワードフィールド(オレゴン州ユージーン)は、5月に世界最高峰のダイヤモンドリーグで経験した舞台。「競技場を知っている、街の雰囲気を知っているので、他の選手より調整しやすいと思う」とアドバンテージがある一方、同レースでは1500メートルで15位と結果を残せなかった。「競技場は悪くないけど、前向きな気持ちでいけるイメージはまだないので、結果を残していきたい」と話した。

オレゴンには“御利益スイーツ”を持っていく。3000メートルに出場した6日のホクレンディスタンス(北海道・深川市)後に、現地で「北海道牛乳カステラ」のハーフサイズを「3種目出るので」3個購入した。好成績を残した昨夏の東京五輪前にも、北海道の空港で買ったもので「昨年のことを思い出しながら、おいしいなと和むのと、士気を高める意味で食べられたら」と笑顔。スイーツの力も借りて、過密スケジュールを乗り切る。