全国高校総体(インターハイ)の男子1500メートルで、秋田工の大野聖登(きよと、3年)が日本一に輝いた。各地のスピード自慢が集う「激戦区」で、自己ベストの3分44秒93で優勝。5月の右すね疲労骨折から完全復活を果たした。

秋田工・大野が激戦を制した。昨年の全国総体1500メートルで5位入賞の実力者だが、今大会の出場選手資格記録ベスト10では圏外。それでも自己ベストを0秒66更新し、2位に0秒76先着した。1位でフィニッシュラインを駆け抜け「最高です」とかみしめた。

「今年はすごい速い人がいっぱいいた。去年からずっと(800メートルとの)2冠が目標だったが、みんなの記録を見て『厳しいな』と思うこともあった。諦めないで良かったです」

攻めの姿勢を貫いた。レース序盤から好位置につけ、残り700メートルでは3、4番手。同400メートルの鐘が鳴ると、一気に加速して先頭へ。バックストレートで一時2位に後退する場面もあったが「(高橋正仁)監督に『勝ちたい気持ちがあればラストは絶対に上げられる』と言われていたので、『勝つ、勝つ』と思いながら走っていました」。最終コーナーで再び後続を引き離し、同100メートルで大型スクリーンを確認。「いける」とトップを守った。

5月の秋田県総体に右すねを疲労骨折した状態で出場し、1500メートルで優勝した。6月の東北陸上は同種目で2位。しかし、完治したのは7月だった。「疲労骨折でインターハイは諦めていたんですが、一番大きな舞台で自己ベストを出して優勝でき、すごくうれしいです」と力を込めた。

メンタル面でも成長した。「去年は勝てればいい」だったが、「今年は勝たなければいけない」と自らにプレッシャーをかけ続けた。今日5日は800メートル予選に出場。2冠に向けて視界は良好だ。【山田愛斗】