地元開催で圧巻Vだ! 男子3000メートル決勝で、日本中学生記録保持者、増子陽太(福島、鏡石中=3年)が、8分18秒49の大会新記録で日本一に輝いた。レース序盤から集団を引っ張り、残り1周でラストスパートをかけた。2着とは2秒差。地元の声援を力に変え、競り勝った。期待のホープが「全中優勝」を手土産に、新たなステージへ向かう。

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増子が両手こぶしを力強く握りながら、歓喜の瞬間を迎えた。「日本一を目標にずっとやってきた。最高の結果」。言葉からは達成感がにじみ出ていた。大会記録を約9秒も上回る8分18秒49の快走。ラスト1周でギアを上げ、終盤勝負をものにした。「日頃の練習からキツい時に『耐える』ことを意識しながら、メンタル面で強化してきた」。積み重ねてきた努力は裏切らない。ここぞの正念場で結実させた。

「100点」。レース後、増子はそう振り返った。序盤から先頭に立ち、集団を引っ張った。残り1キロ地点。後続が仕掛けに入ったが、「来ることは分かっていた」と焦りはなかった。自らも残る力を振り絞る。スパートをかけ、突き放しにかかった。「自分の得意な展開だった」と文句なしのレース運びだった。

「2キロらへんで心が折れかけた」。前日18日の予選で脱水症状の疑いがあったという。決勝を前にしても、コンディションは決して良くなかった。「タイム的にも(ペースは)遅い方でした」と言う。不安をかかえながらの走りも、地元の応援に奮い立った。「拍手でこれまで支えてくれた人たちのことを思い出した。残り1キロで切り替えることができ、地元で優勝できて良かった」と感無量だった。

期待のランナーは「将来は箱根駅伝で区間賞を取りたい」と力強く抱負を口にした。競技人生はまだまだこれから。「全中優勝」の誇りを胸に、さらなる成長曲線を描いていく。【佐藤究】