2時間21分44秒で日本人女子トップの6位に入った松田瑞生(27=ダイハツ)は、何度も「悔しい」を繰り返し、号泣した。国内初の2時間20分切り、そして日本記録更新を目指したが届かなかった。ハイペースで飛ばしたが、15キロからきつくなり、息切れ。厳しい現実を受け止める中で、先駆者の言葉が響いた。

「みずきの記録をみずきが切ってよ」。解説で訪れていた現記録保持者の野口みずきさんだった。同じ名前の縁に「私が今まで日本記録を出すためにやってきた練習を伝授するから」という申し出まで。その真顔の期待に、「うれしかった」と救われた。

東京五輪を逃した悔しさを胸に挑んだ昨年の世界選手権は9位。「全然歯が立たない」と知った。日本記録が世界と戦えるラインと定めた。だからこそ、ハイペースは譲れなかった。「走れば走るほど世界との高い壁を感じる」。ただ、あきらめることはない。「みずき超え」を果たすまで。【阿部健吾】

○…東京五輪8位の一山麻緒(25=資生堂)が泣き続けた。日本人7番手の14位。10キロ手前で引き離され「出ないことも考えたけど………、『応援に行くからね』という方がたくさんいて、走らない決断ができなかった」と涙を止められなかった。昨年12月6日に左の肋骨(ろっこつ)を疲労骨折。調整不足の借りは秋に返す。24年パリ五輪の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権は獲得済み。「今日、走りながら『MGCで絶対優勝してパリ五輪を決めたい』と思った」と決意を固めた。