昨夏の世界選手権(米オレゴン州)男子400メートルリレー代表の柳田大輝(19=東洋大)が、追い風3・1メートルの参考記録ながら10秒09をマークし、2連覇を飾った。

0・01秒差で2着の井上直紀(早大)を振り切ったが、9秒台には届かなかった。「追い風参考で出さなきゃ、公認(記録)で出せないのは当たり前だと思う。今日は9秒台を体験しておきたかった」と顔をしかめた。

11日の予選、同日午前の準決勝をあわせ、決勝が今大会3レース目。そのスタートで出遅れた。「3本の中で一番よくなかった」。焦りを感じたが「出るからには勝たないと」と追い上げ、100分の1秒差で差し切った。

ただ、納得のいく走りとはいかなかった。「スピードに体が追いつかないというか、力を出す方向がバラバラになってしまった」。序盤で波に乗れなかったがゆえに、イメージを体現できなかった。

試合への臨み方にも課題を残した。「風がいいので、9秒台で走ろうと考えすぎてしまった」。好調時はスタートの音しか聞こえないこともあるが、決勝では「邪念」を振り払えなかった。

8月の世界選手権(ブダペスト)で個人での出場を目指す柳田は、21日のセイコーゴールデングランプリ(GGP)陸上(日産スタジアム)でも同種目に出場する。今月6日に10秒03をマークした桐生祥秀(日本生命)や22年世界選手権で同種目を制したフレッド・カーリー(米国)らに挑む。

「少しでも上の順位を取らなきゃいけない。まずは自分のレースをして、最後まで自分の動きで走り切ることが一番です」

9日後のレースで存在感を示すべく、自らの走りを高めていく。【藤塚大輔】

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