秋田工出身のスピードランナー、順大・大野聖登(1年)が奮闘している。

昨年は全国高校総体の男子800メートル、1500メートル、栃木国体の少年男子共通800メートルで優勝し、「全国3冠」を達成。大学入学後も1500メートルを主戦場に4月の日本学生個人選手権で3位、5月の関東学生対校選手権(関東インカレ)1部で4位に入った。順大の先輩・三浦龍司(4年)のようにトラック、駅伝の両方で活躍する万能選手を目指す。

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“トラックの大野”から“トラックとロードの大野”に進化を遂げる。秋田工3年時の昨年度は全国高校総体と栃木国体で「3冠」を達成。陸上競技場が舞台の大会はめっぽう強かった。一方、道路がコースになると苦戦。全国高校駅伝がエース区間の1区(10キロ)で24位、都道府県対抗駅伝でも1区(7キロ)で17位と振るわなかった。

「高校ではトラックだけの人だったので、ロードと両立できる三浦(龍司)さんのような存在になりたい。種目は違いますが、方向的にはトラックをやり、駅伝をやるのは一緒だと思うので、三浦さんを目指して頑張りたいと思います」

3000メートル障害の日本記録保持者で駅伝も強い三浦にひかれ、順大に入学した。世界を知る先輩との貴重な交流の場は寮の風呂場。「海外に行くと、いろいろ考え方とか違うよ」などと経験を聞いたり、陸上談議に花を咲かせる。「自分が全然知らない世界を教えてくれたり、すごいなと思うし、三浦さんはすべてにおいて憧れです」と力を込める。

トラックシーズンは上々のスタートを切った。1500メートルは4月の日本学生個人選手権が3位、5月の関東インカレ1部が4位。この先は10月の出雲、11月の全日本、来年1月の箱根と3大駅伝を見据え、徐々にロードにシフトしていく。

駅伝練習に欠かせない20キロ走では洗礼を浴びた。「『大学というのはやっぱり違うんだな』と感じられたし、1500との両立というか、移行がまだできていない状態ですね」。箱根が最短20・8キロ~最長23・1キロ、全日本が同9・5キロ~同19・7キロなのに対し、出雲は同5・8キロ~同10・2キロ。まずは比較的距離の短い出雲に照準を合わせる。

「1500だけでなく、長い距離も走れるようにしたい。都大路(全国高校駅伝)では失敗したので、その雪辱を果たせるように頑張りたいです」

トラックとロードの両方で輝きを放ち、名門・順大を代表する選手になる。【山田愛斗】

◆大野聖登(おおの・きよと)2004年(平16)8月31日生まれ、秋田県羽後町出身。羽後中1年時から本格的に陸上を始め、秋田工を経て順大入学。昨年の全国高校総体で800メートル、1500メートル優勝。同年の栃木国体少年男子共通800メートルで優勝。自己ベストは800メートルが1分50秒04、1500メートルが3分44秒28、5000メートルが13分56秒18。好きな歌手は浜崎あゆみ。167センチ、55キロ。血液型A。