25年9月に東京・国立競技場で開催される陸上の世界選手権の大会運営組織設立に伴う理事会が30日、都内で開かれた。

7月4日設立予定の「東京2025世界陸上財団」会長には、日本陸連の尾県貢会長が選出された。

尾県氏は「新しいスポーツ界のモデルをつくっていきたい。そのためには運営組織がガバナンスの効いたものでなければならない」と力強く話した。

21年の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックでは、事業を巡って談合事件が発生。それを受け、健全な組織運営を進めるため、専任の代理店契約は結ばないことも明言した。「1つの代理店に頼らずにオープンにして、全ての代理店にお願いする形になると思う。不正が起こらないような雰囲気にしていく」と話した。

アスリートの意見を取り入れながら組織を運営するため、代表理事には男子走り高跳びの戸邉直人(31=JAL)やアテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずきさん(44)ら、10人の理事が選任された。

戸邉は東京五輪・パラリンピックの談合事件に触れ「そうした実態を五輪前も五輪後もあまり分かっていなかった。選手としてはもやもやしている。世界陸上では、多くのアスリートの声を取り入れていただけるのはうれしい限り」と2年後へ向けた組織体制を歓迎。野口さんも「91年に東京の世界陸上を見て、有名な選手が出て、最高の舞台だなと思った。あのワクワク感を、2025年にはもっともっと世の人に広めたい」と、陸上競技の普及活動の重要性を唱えた。

日本での世界選手権は、07年の大阪開催以来、18年ぶり。東京での開催は91年以来となる。大会は9月13~21日(日)の9日間で行われる。