女子100メートル障害の日本記録保持者で、6月の日本選手権4位の福部真子(27=日本建設工業)が、12秒90(向かい風0・9メートル)で優勝した。

日本選手権を制した寺田明日香(33=ジャパンクリエイト)に0・02秒差で競り勝った。「なんか自分のレースが出せないことが続いていて、もやもやしていたんですけど、そこがちょっとだけ払拭(ふっしょく)できた」とうなずいた。

昨年9月に日本記録となる12秒73をマークし、8月の世界選手権(ブダペスト)の参加標準記録(12秒78)を突破。今年の日本選手権で3位以内に入れば世界選手権代表に内定したが、12秒99で4位となり、代表入りを逃した。

「シーズンに入ってから一切休みを取らずにきて。休みはあっても、自分の中ですごく考えたりしていたので、脳も疲れている状態だった」

6月25日の布勢スプリントで3位となった後は、2日間の休養をとった。

これまでとは別調整で臨んだレース。「何も意識せずにというか、とにかく行くだけ行ってみようという気持ちで出れた」と無心でスピードに乗り、失速することなく、振り切った。

考えすぎないことが結果に結びついたが、目指すべきは、考えた上で結果を出すこと。「何も考えないというのはすごくもったいないというか、次に生かせないので。あのスピード感の中で(自分の)意識がある状態でやれたらいいのかなと思います」。

考え抜いて、次に生かす姿勢が成長を支えてきた。

7月1日から24年パリオリンピック(五輪)の参加標準記録(12秒77)の有効期間が始まり、期限は来年6月30日まで。「来年のパリ五輪でファイナルに残るためには、12秒50切りが必要になるので、標準記録うんぬんというよりは、12秒6~7台を安定して出せてこそ見えてくると思う。記録よりも安定性、再現度の高さを目指して、何かつかめたらいいなと思っています」

今月7日からは欧州で4試合を転戦。試行錯誤を続けながら、思い描く姿に近づいていく。【藤塚大輔】