陸上のアジア選手権の女子走り幅跳びで日本新記録を樹立した秦澄美鈴(27=シバタ工業)が15日、羽田空港に帰国し、代表内定が確実となった8月の世界選手権(ブダペスト)へ意気込んだ。

14日の決勝で6メートル97(追い風0・5メートル)をマークし、従来の日本記録(6メートル86)を17年ぶりに更新した。昨年の世界選手権(米オレゴン州)で銅メダル相当となるビッグジャンプに「まさか97も跳んでいるとは」と興奮気味に回想。世界選手権の参加標準記録(6メートル85)を突破し、日本陸連が定めた選考要件を満たしたため、2大会連続の代表切符を手中に収めた。

9日の出国時に「心の中で、全部の試合を平等に考えられれば」と見定めていた通り、大舞台で好記録を残した。「自分の跳躍に集中することがテーマだったんですが、それがしっかりできました」と控えめに胸を張った。

喜びを口にする一方で「とりあえず1本跳べただけで、これで世界と戦えるわけではない」と引き締まった表情も見せる。昨年の世界選手権では大会前にアキレス腱(けん)を痛めた影響もあり、予選で姿を消した。1年前のリベンジへ、言葉にひときわ力を込める。

「今回は何としてもケガをせず、自分のやりたい練習ができるようにコンディションを整えてできれば。世界の舞台となると、気持ちの入り方が違うと思うんですけど、そこをコントロールして、決勝の舞台で戦うという目標を達成したいと思います」

昨夏はかなわなかった決勝進出へ。1つ1つの跳躍に心を研ぎ澄ませる。【藤塚大輔】