全国高校総体(インターハイ)の陸上競技が8月2日に札幌市内で開幕する。日刊スポーツ東北版では全3回連載で活躍が期待される注目選手を紹介します。第2回は、山形中央のハードラー高橋大史(3年)です。6月の東北大会男子110メートル障害決勝で追い風参考ながら13秒92をマークして優勝。「日本高校新記録での優勝」を本番の目標に掲げた。

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段違いの目標達成力で日本一に上り詰める。中学1年から陸上を始めた高橋は、最初は100メートルと走り高跳びの選手。しかし、1年冬に混成種目を薦められ四種競技(110メートル障害、砲丸投げ、走り高跳び、400メートル)に転向。「最終的な3年生の目標を日本中学記録更新とし、中2はここまで、中3で日本中学新とどんどんステップを踏む計画を顧問の先生たちと一緒に立てました」。中学2年時は全中3位、中学3年では全国中学陸上代替大会四種競技で全中新記録の3091点をマークし優勝。計画通りに階段を上ってきた。

練習のしすぎがたたり、高1の冬には腰椎分離症の末期段階との診断を受け、混成種目を断念。中学3年時に語っていた「八種競技で高校新記録を樹立したい」という目標はかなわなくなったが、高橋の足は止まらなかった。「ハードルがめちゃくちゃ好きなので、ハードルに絞って全国で戦いたいなと」。以降は腰に影響が少なく、四種の中でも特に好きだった110メートル障害一本に絞り、日本一を目指した。

「高校日本一」に向け、インターハイから逆算して、踏むべきステップは踏み外していない。「東北大会の最低目標は大会記録(14秒25)と山形県高校記録(14秒20)の更新だった」。東北大会では、男子110メートル準決勝で自己ベストを更新する14秒16をマークし、目標を達成。「ホッとしたところもあった」。決勝には「いつも通り、全体的にいいイメージで」と気楽に臨んで13秒92。「すごくリラックスしたハードリングができた。13秒台に入る感覚も身体になじんだので、自分からその感覚に入れるようにしていけば、13秒台は安定して出していける」。7月の山形県選手権では14秒09と自己ベストを伸ばしており、東北大会で得た感覚は確実に力となっている。

インターハイでは日本高校記録(13秒69)更新と優勝を目標に掲げる。しかし、それはあくまで通過点。高橋は「大学生や一般で日本新記録(13秒04)を更新することとオリンピックで優勝することが最高の目標です」と言い切った。思い描くフィニッシュラインへ、どんな障害も飛び越える。【濱本神威】