世界ランキング1位の北口榛花(25=JAL)が66メートル73で日本女子ではフィールド種目で初となる金メダルを獲得した。
前回大会の銅に続くメダルで、女子では史上初の2大会連続メダルとなった。さらに日本陸連が定めた24年パリオリンピック(五輪)の選考基準を満たし、2大会連続の五輪代表に内定。陸上ではパリ五輪内定“第1号”となった。
4位で迎えた最終投てきでビッグスローを放ち、大逆転でつかんだ優勝。試合中はずっと「自分は最終投てきに強い」と言い聞かせていた。
笑顔いっぱいの一問一答は以下の通り。
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-今の心境はいかがですか。
北口 うれしすぎて体が軽いんですよ。なんかちょっと浮いてるんじゃないかなって思うぐらい。3センチくらい浮いてるんじゃないかなと思うくらいフワフワしてて(笑い)。現実だけど、本当にできたんだなと思いました。
-最終投てきで逆転とドラマチックでしたね。
北口 最初の1投目で右のふくらはぎをちょっとつっちゃって。でもその後すぐに走れてたので「大丈夫だから、安心して走って」と言われていたんですけど。ちょいちょい気になってて、自分で伸ばしたり揉んだりたくさんしてたんですけど。でも、あんまり気にならなくなってきたので大丈夫だなって思って。最初にコロンビアの選手に投げられて「絶対投げれるのに」って思う気持ちが先行して、自分の力とやりの方向が合わなくて。足がつったのもあって、最初はゆっくり走っていて、その影響で6投目まで修正がかかったかなって思うんですけど。本当に最後は「自分は最終投てきに強い」ってずっと言われてきたので、「自分は強いんだぞ」っていうところを見せたかったです。いつもマッケージ選手とやり合ってんので(笑い)。絶対今日も負けたくないと思って臨みました。
-6回目はどんな投てきでしたか。
北口 覚えてないです。今、動画見たいですけど、全然見られなくて。なんか「とりあえず上に投げろ」「高く投げろ」っていうふうに言われてて。高くちょっと右にっていうのを心がけて投げ出したんですけど。やりも刺さったのも見てないと思うし、全然覚えてないし、とにかく騒ぎすぎて(笑い)
-投げた瞬間にいった感じはありましたか。
北口 いや、なかったと思う(笑い)
-何かを叫んでいましたか。
北口 刺さるのを見てからですか? 覚えてないです。皆さんと一緒にテレビ見ないといけないです(笑い)。
-どこから記憶がありますか。
北口 とにかく叫び散らかして(笑い)。トラックのところに行ったような気がします。
-最終投てきの時点で優勝が決まってないというのは分かっていましたか。
北口 覚えています。そこはちゃんと冷静で。コロンビアの選手の投てきも拍手しながら「絶対やめて、絶対やめて」と思いながら、こうやって願ってたんですけど。最後、すごい低く出たので「これはないな」と思って喜んでました(笑い)
-手拍子して会場が1つになりました。
北口 そうですね。この大会に来てから何回も6回目に逆転っていうのを見てて、男子の円盤とかも。ほとんどが最終投てきで逆転で。このハンガリーの競技場の人たちはみんな国籍関係なく、絶対拍手してくれるって分かってたので。もう最後は良くても悪くても、後悔しないように臨もうとと思って。本当に力になったと思います。
-決勝までの緊張感はどうでしたか。
北口 競技場に入ったら知っている人の顔がいっぱいあって、それですごく安心して。予選より全然緊張しなくて、逆にふわふわして「私、大丈夫かな、このままいって?」と思ってたんですけど、でもすごく楽しめて。誰がどこにいるかも分かりながら試合してたので。意外と予選が一番緊張しました。
-メダルを目標にした上での金メダルはどうですか。
北口 そうですね。やっぱりメダルって言っても、一番は金メダルがほしいじゃないですか? だから、取れてすごくうれしいです。ユースの時に世界で一番になってから、本当に自分が世界で一番になれるって信じて、やり投げっていう種目を選んで競技してきたので、すごく感慨深いものがあって。ユースの時に君が代を聞いた覚えがなかったので、今回聞けるっていうのが、どんな感じなんだろうって思ってます。