東京パラリンピック・陸上男子走り幅跳び(義足T63)で4位入賞の山本篤(41=掛川市出身)がこのほど、静岡市の井宮小を訪問し、6年生60人超に講演と実技指導を行った。講演では高校途中で事故に遭い、左太ももから下を切断した当時のことや、気持ちをどう切り替えたかなどについて語った。片足を失い「くよくよするのではなく、今やれること、自分がやって楽しいことをやろう」と、好きだったスポーツに活路を見いだしたと示した。

山本は健常者だった小学時代には少年野球、中高ではバレーボールに打ち込んだ。「一番好きだったのはスノーボード」。義足に慣れてから、まずスノボに挑戦。「もっといろいろやってみたい」と陸上と出合い、競技用義足の存在も知った。児童らに生活用義足と競技用の違いを説明。質問にわかりやすく答えた。

パラリンピックについては認知度が高まっているとし、「みんなにもパラ五輪を目指すチャンスがある」と話した。コーチや目の見えない選手のガイド、通訳などで選手を支える関わり方があると教えた。

今年のパラリンピック(8月、パリ)を見据えた世界パラ陸上(5月、神戸)に向け、調整は順調だという。実技指導では児童らに走り方のコツを伝授。話を聞いた渡辺あずささんを「片足がなくても自分の好きなことをやり、未来を切り開いたことはすごい」とうならせた。【倉橋徹也】