無良崇人(26=洋菓子のヒロタ)は、フィギュア界では珍しいパパスケーターだ。引退した浅田真央さんと同学年で13年4月に元競技者の妻と結婚。現在は2児のパパだ。10代から20代前半の選手が多い中で、岡山県倉敷市を拠点としているベテランだ。「育児は普通にしています。日頃、遠征以外は家にいて、練習が終わって、チビたちと遊んで、そういう生活がオンオフの切り替えになる」。

 フィギュア選手だった両親の影響で、3歳から競技を始めた。現在も父の隆志コーチに指導を受けている。父は78年世界ジュニア選手権2位に入ったトップ選手。ただ五輪には手が届かなかった。無良は「父を五輪の舞台に連れて行きたい」とともに歩んでいる。フィギュア選手で珍しい筋骨隆々の体から繰り出すパワフルなジャンプが武器だ。

 ソチ五輪選考だった13年12月の全日本選手権は6位に沈んだ。「ソチは初めて自分が頑張れば、五輪に手が届くという感覚だった。でも五輪を意識して振り回されて終わった」。平昌は2度目の五輪チャレンジ。8日には「このチャンスを逃せば、次の五輪は本当に難しい。年齢的にも、ここで頑張るしかない。結びのシーズン」と口にした。

 最後の挑戦を前に、4年前の映像を見直して、気がついた。「4年前は本当にジャンプしかやってないな、と感じた。現在はプログラムに対する意識が違う」。スケートカナダではSP曲を昨季と同じ「ファルーカ」に戻す。「振り付けも含めて磨けば、90点台中盤も出る。成績を残すのが一番。かぎは総合力。それを踏まえてやれば、周りのレベルは上がっても自分らしさは出せる」。男子3枠の代表争いでは田中刑事、村上大介らと3人目の枠を争うことが濃厚だ。26歳が最初で最後の五輪を目指して、船出する。【益田一弘】

 ◆無良崇人(むら・たかひと)1991年(平3)2月11日、千葉県松戸市生まれ。3歳で競技を始める。07年全日本ジュニア選手権優勝。14年1月に4大陸選手権優勝。全日本選手権3位が4度。GPシリーズ通算2勝。170センチ。

無良崇人のデータ
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