東京オリンピックの競泳は1日に終了し、日本代表は金2、銀1、入賞9という結果だった。オリンピック2大会出場の伊藤華英さんに今大会を振り返ってもらった。

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-今大会の結果については

伊藤 予想外ですね。松元克央選手、佐藤翔馬選手ら金メダル候補といわれた選手たちがメダルに絡むこともできなかった。タイム的にすごく速かったというわけでもなく、オリンピックという大舞台の勝負に負けた印象です。


個人メドレー2冠の大橋悠依(右)と200メートルバタフライ銀メダルの本多灯
個人メドレー2冠の大橋悠依(右)と200メートルバタフライ銀メダルの本多灯

-大橋が金メダル2個の大活躍だった

伊藤 本当に彼女と本多選手(200メートルバタフライ銀メダル)に救われましたね。大橋選手は「ラッキーだった」と話していました。直前まで調子が上がってこなかったので、良いか悪いかどっちに転ぶか分からなかった。タイムも自己ベストではないんですが、見事に勝ち切りました。

-印象に残った選手は

伊藤 池江選手は最後に決勝レースを泳げてよかった。メドレーリレーは彼女がいたから五十嵐選手も頑張れたし、渡部選手も救われたのではないでしょうか。パリ大会を目指すと思いますが、今大会の経験で方向性が決まればいいですね。それと萩野選手ですが、200メートル個人メドレーで6位は立派。昨年までの状態を考えると、よくここまでもってこられたなあと元日本代表チームの仲間としては感動しています。


男子200メートル個人メドレーで6位の萩野公介(右)と4位の瀬戸大也
男子200メートル個人メドレーで6位の萩野公介(右)と4位の瀬戸大也

-特殊な状況下という影響は

伊藤 平井コーチも話していましたが、代表選手全員がそろう合宿がこれまでに比べて少なかった。選手それぞれで強化しているケースが多くて、チームとしての一体感を持ちにくかったかもしれません。一人で抱えるものが大きいとメンタル的な問題も出てきますから。


-今後に向けては

伊藤 競泳の世界にも変化のときが来たかなと思います。メンタルのサポートを充実させていくべき時期です。金メダルを獲得したソフトボール代表は、メンタルトレーナーを常に帯同させていました。一部のコーチが選手のメンタル面もケアするのではなく、役割を明確にした人材が必要だと思います。