各種目のフリー演技が中止となる異例の事態となった。国際スケート連盟(ISU)が、パリ中心部などで13日夜に発生した同時多発テロを受け、最終日の競技を中止すると発表した。成績の取り扱いについては今後協議する予定だが、ISU関係者によると、GPファイナル(12月・バルセロナ)出場を争うポイントについては、ショートプログラム(SP)の成績がそのまま換算される方向という。

 突然の通告だった。日本代表の4選手がフリーを控えた当日の午前練習を終えた後、事態は動いた。テロが起きたパリから約500キロ離れたボルドーにも余波が及んだ。フランス全土が非常事態宣言下にあることから、フランス内務相とボルドー市長が、フランス連盟に対して大会の中止を指示。国際スケート連盟(ISU)もこれを受けて決定を下した。フランス連盟のガイアゲ会長は「非常に残念で、申し訳なく思う」と苦渋の表情で話した。

 ISUは1度は無観客での実施も含めて検討した上で、警備を強化して開催する方針を決めた。主催者側からは日本を含む選手団に「これは戦争である。ただ、スポーツは平和のためにある。立ち向かっていきたい」との説明があったという。選手も競技に向けて調整していたが、正午すぎにあらためて中止が決定。会場の一室に集められ、決定を聞かされた選手たちも戸惑いを隠せない様子だった。ISU関係者が「大会を続けられず、申し訳ない」と語ると、重苦しい空気が流れた。その後すぐに会場の撤収作業が始まった。

 日本の小塚あゆみチームリーダーは「選手たちは競技をしたかったと思うが、仕方がないと思う。残念です」と代弁した。日本に帰国する選手は便変更などの手続きを取ることになる。