北海道が秋田を63-55で下し、今季リーグ戦初の2連勝を飾った。新外国人のダニエル・ミラー(25)が15得点、ブライアン・フィッツパトリック(26)はスピードあるプレーで躍動。外国籍選手の先輩であるプロ野球日本ハムのブランドン・レアード内野手(29)に、勝ち試合をプレゼントした。チームは通算3勝3敗の5割に復帰。13日の次戦は今季初の3連勝と勝ち越しを狙い、ホームで元NBAの田臥勇太(36)率いる栃木と対戦する。

 勝利の流れをつくったのはミラーの豪快な一発だった。第3クオーター(3Q)残り5分10秒。コート中央でボールを奪った松島良豪(24)からゴール下でパスを受けると、210センチの体を思い切りしならせ、跳び上がった。両手でガッチリつかんだボールを、リングの上からたたき込む。4Q残り36秒には、フィッツパトリックがとどめのダンク。3024人の、耳をつんざく大歓声が、アリーナを包んだ。「プレーしていて楽しかった」。2連勝の余韻にひたりながら、ミラーが言った。

 来日から約1カ月が過ぎ、札幌での自炊生活にも慣れた。休日には2メートルを越える大男が2人で大通を散策。調理用のナイフを購入し、スーパーで調達した分厚い肉を焼き上げ、ペロッとたいらげる。先日の練習後にはチームメートの松島良豪、西川貴之(24)と一緒に外食し、初体験のしゃぶしゃぶに舌鼓を打った。「日本食は何でもおいしい」と、2人は声をそろえる。

 この日は、同じ米国出身のレアードが来場。「すし大好き。がんばって」と会場で“すしポーズ”を披露し、コート横で観戦した。札幌の生活になじんだ先輩の前で、恥ずかしい試合はできなかった。「“すし”は大好きだけど、すしポーズじゃなくて、僕はダンクと(得点を阻止する)ブロックショットのパフォーマンスを決める」。宣言どおりのプレーをミラーが披露すると、レアードが両手を挙げて立ち上がり、喜びを爆発させた。

 MVPのインタビューでは「ありがとう」とおぼえたての日本語を話し、照れながらすしポーズも披露したミラー。「木曜日(13日)と金曜日(14日)の試合も勝つよ」。幼い頃からあこがれだったNBAのコート。その場所に立った田臥のいる栃木からも、極上の勝ち星を奪う。【中島洋尚】