男子の上越総合技術(新潟)は、インターハイ、国体の覇者で3冠を狙う駿台学園(東京)に0-2のストレートで負けた。超高校級エース新井雄大(3年)は16スパイクポイントを奪ったが、不完全燃焼。トスが乱れて不十分な体勢のまま打ち、ブロックにつかまり、拾われた。前日4日にインターハイ4強の星城(愛知)を破った勢いのまま、2日間連続の金星を狙ったが、かなわなかった。

 2冠王者に歯車がカミ合わなかった。大会NO・1の最高到達点350センチを誇る新井の持ち味が半分、削られた。相手の巧みなサーブでレシーブが崩れ、トスが乱れ、いい形のボールが上がらなかった。「トスが近かったり、離れたりで(新井は)対応できなかった。昨日(星城戦)のような動きをさせてくれないのが、駿台(学園)さん」と千葉賢一監督(37)は完敗を認めた。

 ところが、新井は責任を1人で背負っていた。「自分の力不足。トスが乱れても、打たなければならない。決めきれなくて申し訳なく思う」。もちろん、いい形のトスが上がれば、高さを駆使して3枚ブロックの上からスパイクをたたきつけた。U-20日本代表のすごみを見せつけた。「いい形の攻撃をさせてくれなかった」と話したが、16スパイクポイントを奪った。

 12月18日と今月2、3日には駿台学園と練習試合をした。新井のスパイクのクセは、すっかり研究されていた。ブロックを抜けても、ボールのコースに相手は待ち構えていた。しかも、スパイクがワンタッチでコースが変わっても、拾ってくる粘りも備えていた。3冠を狙う相手は、したたかで強かった。しかし、新井は言う。「ミスでペースがつかめなかった」。

 新井の攻撃力を前面に押し出して、上越総合技術は春高に2年連続出場した。千葉監督は「来年はエースがドカンッと決めるバレーは難しい」と、伝統のコンビバレーに立ち返るつもりだ。新井は「この経験を生かして上のステージ(大学)で頑張りたい」と言う。その視線の先には、2020東京五輪が見えていた。【涌井幹雄】