「空飛ぶウイング」として知られる関西ラグビー協会の坂田好弘会長(74)が7日、大阪市内で行われた「関西セブンズフェスティバル」の記者会見で異例の“公開技術指導”を行った。大会は4月1、2日に大阪・鶴見緑地球技場で開催。大学や若手中心の日本代表、クラブチームなど、16チームが参加する。

 この日は関西大学リーグに所属する同大・鶴田桂樹(3年)と関学大・中孝祐(2年)の7人制日本代表コンビが出席。質疑応答が一段落すると坂田会長が「技を伝授したいと思います」と突然切り出した。

 坂田会長は12年に日本人で初めてラグビーの国際殿堂入り。69年にニュージーランドへ単身留学し、同国代表オールブラックス入り間近と言われた名WTBだ。7人制は15人制と同じコートを使うためスペースが広い。そのため「当時は盛んじゃなかった」と語る元俊足WTBの思いはヒートアップ。隣に座る鶴田と中へ、記者会見の席上で指導が始まった。

 「私は同志社(大)に入学してトライを取ったとき、当時の岡仁詩監督に呼ばれて『坂田、真っすぐ走れ』と言われた。最初は『真っすぐ走ったら捕まる』と。そこから『イン・アンド・アウト』を身につけた」

 坂田会長のいう「イン・アンド・アウト」は、ボールを持って相手と対峙(たいじ)した時に、内側へステップを切る。そして相手の重心が傾いたのを利用して、外側(アウト)に抜き去る技術だ。「こうすれば元にいた真っすぐに戻る。それを敵が来る度に続けるんです」。将来有望な2人を前に熱弁すると「また個人的に来てください」と笑ってマイクを机に。鶴田は「(20年)東京五輪で日本代表として活躍したい」。中も「世界を意識して頑張っていきたい」と意気込みを語った。

 会見の最後にはお決まりのフォトセッション。すると坂田会長が「みなさんもこっちに来てください。撮るんじゃなくて、今度は写真を撮られる番です。ここにいる全員で撮りましょう」と手招き。報道陣も入っての記念撮影という異例尽くしで、お開きになった。4回目を迎える大会の認知度向上、レベルアップへ、関西協会のトップが「関係者一丸」の姿勢を示した。