マクラーレンとホンダは15日、15年から続いてきた両社の提携関係を今季限りで解消することを発表した。同時にルノーはトロロッソへのパワーユニット供給契約を今季限りで打ち切ることを発表しており、18年からはマクラーレンはルノー製パワーユニットの供給を受け、ホンダはレッドブル傘下のトロロッソに供給先を変更することも発表された。

 ホンダの八郷隆弘社長は 「今回、志半ばでMcLarenと袂を分かつのは非常に残念ですが、お互いの将来に向けた最善の道として決断しました。これまでMcLaren-Hondaを応援してくださったファンの皆さまをはじめ、2015年の復帰の準備段階から多くの苦楽を共にしてきたドライバーやチーム、関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。2017年シーズンはMcLarenと共に最後まで戦い抜き、2018年以降もF1レース活動を継続してまいります」とコメントした。

 18年からのトロロッソへの供給については「トロ・ロッソは、才能あるドライバーを数多く輩出してきた若さと勢いのあるチームで、彼らと共にチャレンジできることを、とても嬉しく思います。また、このパートナーシップの実現に向け、ご協力をいただいたリバティメディアとFIAに対して感謝を申し上げます。ファンの皆さまの期待に応えられるよう、トロ・ロッソと共にチーム一丸となって戦ってまいりますので、応援をよろしくお願いいたします」と語っている。

 マクラーレンにパワーユニットを供給するかたちで15年にF1活動を再開したホンダは、複雑化した技術規定への対応に苦戦を強いられ、復帰初年度の15年はランキング9位と低迷。マネージメント体制を強化した翌16年は6位と持ち直したものの、17年はライバル追随のために設計コンセプトを一新したため開発に遅れが生じ再びランキング9位と後れを取った。

 一方マクラーレンも16年末にロン・デニスが代表の座を追われチーム体制が変化。当初は“ワンチーム”の旗印の下にホンダと技術・資金両面で強いタッグを組みトップを目指す姿勢だったが、新首脳陣は成績低迷によるスポンサー離れ回避や旧来のチームイメージ一新を狙いホンダとの提携解消に動いた。 提携解消案は今季開幕前の段階でチーム側から噴出。7月の時点では条件面の見直しによる提携継続も視野に入っていたが話し合いはまとまらず、9月に入りF1を統括するFIA(国際自動車連盟)やFOM(フォーミュラ・ワン・マネージメント)も乗り出して関係各所との調整が行なわれ、マクラーレンとホンダの提携解消と来季以降の体制が決まった。

 ホンダは今年4月、来季からザウバーへパワーユニット供給を行なうことを発表していたが、ザウバー側のチーム体制が変更されたことを受け7月にこれを白紙に戻した。それにともないレッドブル側からトロロッソへのパワーユニット供給を依頼され、交渉を続けてきた。その背景には、将来的なホンダ製パワーユニットの獲得やトロロッソの売却を視野に入れたレッドブルの狙いがあるという。

 現在F1には4自動車メーカーがパワーユニットを供給しており、均衡を保つため供給先は1メーカーあたり最大3チームまでと定められている。ホンダが来季トロロッソに供給することで今季までの供給元であったルノー製パワーユニットに1つの空きが生まれ、これをマクラーレンが手にすることになる。