元日本代表主将の菊谷崇(37)を擁するキヤノンが、開幕6連勝の神戸製鋼を31-26で破る金星を挙げた。トップリーグ(TL)昇格6季目で神戸製鋼戦初白星となった。菊谷はTL4人目の150試合出場を達成し、今季限りの現役引退を表明した。

 闘将が執念をみせた。最大17点差あったリードが、後半20分以降は防戦一方となり同36分には5点差まで詰められた。自軍ゴールライン手前5メートルでのスクラムでピンチが続く。最後は菊谷がラックで相手の反則を誘ったところで試合終了。「これまでつらい時間を乗り越えたから我慢できた。この1勝はチームを大きく成長させる」と、充実感に満ちた表情を浮かべた。

 海外のトップ選手にも負けない闘争心とフィジカルの強さが持ち味で、11年W杯では日本代表を主将としてけん引した。「世界を経験したことで大きく成長出来た。引退を決めて試合に出られるのは幸せだし、残り8試合は燃え尽きるぐらいのプレーで勝利に貢献したい」と、最後まで闘将であり続ける姿勢を示した。

 試合後の会見は菊谷らしかった。今村監督代行の前で「練習がつらすぎて毎日が精いっぱい。来年は無理かなと思いました。体力の限界です」と冗談交じりに言った。肉体が悲鳴を上げる中、この日も80分間フル出場。「マジか…と。監督(代行)は本当にひどい人。おじさんなのに…」とぼやいて笑いを誘った。引退後は「未定」としたが、チーム関係者によると指導者の道を模索中という。【峯岸佑樹】

 ◆菊谷崇(きくたに・たかし)1980年(昭55)2月24日、奈良県生まれ。奈良・御所工高(現御所実高)、大体大を経てトヨタ自動車入り。14年にキヤノン移籍。05年から日本代表入りし、歴代5位の68キャップ。11年W杯ニュージーランド大会で主将を務めた。ポジションはロック、フランカー。愛称はきく。187センチ、100キロ。