自分らしさを貫く-。柔道の世界選手権男子100キロ超級代表の王子谷剛志(25=旭化成)が6日夜、世界無差別級選手権(11~12日、モロッコ)出場のため羽田空港を出発した。

 全日本王者は深夜にもかかわらず、すがすがしい表情で現れた。6年ぶりに開催される同選手権について「今回はシンプルに気持ちを持ってきた。研究や(絶対王者の)リネール(フランス)どうこうではなく、自分の柔道をするだけ。いかに、自分らしさを出せるかを重点に置いている」と話した。

 3回戦負けした世界選手権ではリネール対策ばかり意識して、緊張から試合に集中出来なかったという。帰国後2週間は柔道着を着られなかった。

 気持ちは吹っ切れてはいないが、徐々に前向きになっている。稽古では「初心に戻る」をテーマに「持ち味の前に出て攻める柔道だけを考えた。世界選手権前の時のような緊張もなく、今は気持ちも状態も良い感じです」。

 柔道以外でも「らしさ」を貫く。大会前になると神奈川県小田原市のうなぎの名店でうな重を食べるのが決まりだ。「いつも通り、うなぎも食べてきました。うまかったです」。今大会の優勝賞金は、柔道では高額の約1000万円だが「お金はあんまり…。まずはこの鬱憤(うっぷん)を晴らして、日本の重量級は強いということを証明したいです」と貪欲に勝利だけを求める姿勢を示した。