「格好いいオヤジ」は見せられなかった。

 男子73キロ級では、66キロ級五輪2大会連続銅メダルの海老沼匡(28)が世界王者の橋本壮市(26=ともにパーク24)に敗れた。

 組み手争いをする中、同じ所属の橋本に一瞬の隙を狙われて、勝負あり。海老沼は「練習で何回もやっているけど、練習と試合では少し違った。正直、優勝したかった」と唇をかんだ。

 昨年、減量苦により階級を73キロ級に上げた。66キロ級で実績はあるが73キロ級では「挑戦者」と捉えている。「結果を出さないとすぐに切られるし、1つ1つのチャンスをものにしないといけない」と常々口にしていた。同階級は橋本のほかに、五輪王者の大野将平らの強豪が集う黄金階級だ。

 会場には昨年12月に誕生した長女の奏暖(かのん)ちゃんも応援に駆け付けていた。父となったことで「柔道をより頑張らないと」という気持ちが高まり「格好いいオヤジの姿を見せたかったけど、次に持ち越しです。しっかりと戦っていきたい」と前を向いた。【峯岸佑樹】