平昌オリンピックフィギュアスケート男子で冬季五輪2連覇を達成した羽生結弦(23=ANA)が2日、首相官邸で行われた国民栄誉賞授与式に出席した。個人としては最年少の受賞で、スケート界からは初めて。東日本大震災での被災や、五輪前の右足首の大けがなど苦難を乗り越えての偉業で国民に感動や勇気を与えたことが評価された。

 以下、一問一答。

 -受賞の感想

 こういった賞は自分だけで取れるものではない。ここまで切り開いてくださった方がたくさんいらっしゃる中で僕が代表として、環境にも恵まれながらいただいた賞。賞と皆さまの期待とともにこれからも進んでいきたい。

 -着物について

 (はかまは)仙台平という、人間国宝の方である甲田さまが直々に贈ってくださったもの。(仙台)伊達藩の藩主の方々が使っていたということもあって、非常に素晴らしい。自分ははかまとか詳しくないんですけど、身につけていて本当に快適。一応、羽生家の紋を付けさせていただきました。

 -副賞がなかった

 自分の中で皆さまの代表として、皆さまと取れた賞というのがすごくあり、記念品は辞退させていただいた。

 -今後の目標

 競技会に向けて準備していくことが大事。けがの状態も少しずつ良くなってきて、できるジャンプ、技が増えてきている。自分の体と相談しながら、試合に向けて準備を着々と進めていければ。

 -個人で最年少の受賞

 自分の中では最年少という気持ちは大きくない。ここまで応援してくださった方も含めて、皆さんの思いが背中を押してくれたと思っている。

 -これからどういう人生を送っていきたいか

 先日までアイスショーを行ってきました。その中で、受賞が決まった時に、たくさんの方々からおめでとうという言葉をいただいた。一緒にアイスショーで滑っていた海外のスケーターからもおめでとうという言葉をもらったのが印象的だった。だからこそ、日本人として、誇りをもって、海外にも目を向けて、スケーターとして滑っていきたい。海外の方から見ても(国民栄誉賞は)素晴らしい賞であるからこそ、せっかくいただけた賞の名を背負って、活動のきっかけとなっていけばいい。

 -今後どんなスケーターになっていきたいか

 スケーターとして、人間として、このように素晴らしい賞をいただけるということは、何というか、普通ではいけないんだな、と自分の中では、ちょっとけじめというかそういうのを付けています。だからこそ、私生活も含めて、常にいろんなことに気をつかって、1人の人間として後ろ指さされないような生き方をしていきたい。それはスケートにおいても一緒で、これからも自分の名に、国民栄誉賞という素晴らしい名に、恥じないようなスケートをしていくことが大事と思っている。

 -次の五輪に向けては

 えーと(笑い)、特に考えていません。とりあえず自分が思っていることは、自分がやりたいこと、スケートを通じて磨いていきたいこと、成長していきたいことを自分が納得できるようにしたい。

 -被災地の方々にひと言

 僕は、仙台のスケートリンクで当時練習中に被災して、それから本当にたくさんの方に支援していただき、お力をいただきました。被災地の方々に応援されてきた立場だからこそ、みなさんの力になればと今も思う。僕はなにかを作ったり、直接的に手助けできる立場ではないので、本当に実質的な復興の力にはなれていないのかもしれないですが、スケーターとして、自分のスケートだったり、自分がこうやって国民栄誉賞をいただいたことによって、希望を抱くきっかけ、自分の存在を通じてみなさんが1つになれるような存在になっていきたい。

 -スポーツ界での役割

 将来的にはトップに立ちたいと思っている選手が全世界にあふれているので、支援ができる立場になれればと考えている。こういう賞をいただけたからこそ、日本人としての誇り、文化、考え方、そういったものにも思考をめぐらせて、そういった立場に立ちたい。五輪2連覇をして、結果をいただけたからこそできることは絶対ある。僕にしかできないこと、僕にしか感じてこれなかったこと、僕しか学べなかったことを伝えていく存在になりたい。

 -授与が決まったとき

 まず、大変恐縮な気持ちが多くありました。国民栄誉賞をいただけるということを聞いたときに、自分の報道とか、結果とか、スケートを通して、みなさまの力がみなさまに還元していると思えた。今回のこういう明るいニュースが、みなさまにとって明るい光になっていただけていたらうれしい。

 言葉で表すのは難しいんですけど、1人の人間としてではなくて、1つの存在、羽生結弦という存在として、みなさまの力が僕に注がれていて、僕の力がみなさまに巡っていって、といなるにはやはりその期待に応えなきゃいけない。期待に応えるだけの技術、芸術をもっていなくてはいけないと強く思っている。これからも身を引き締めて頑張っていきたい。