体操女子16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)代表の宮川紗江選手(18)からパワハラ告発を受けた日本協会の塚原千恵子女子強化本部長(71)と夫の塚原光男副会長(70)が2日、代理人弁護士を通じ「宮川選手に直接謝罪させて頂きたい」とコメントを発表した。宮川選手の告発について8月30日に千恵子氏がインタビューで「もう黙ってないわよ」と発言し、31日にも両氏が文書で徹底反論していたが、この日の声明文では一転して全面的に非を認めた。

塚原夫妻が、いったん振り上げた拳を下ろした。2日夜、弁護士を通じて文書を発表。「今回の一連の報道につきましては、その過程はどうであれ、私たちの落ち度が大きな原因」とこれまでの発言を反省。「宮川紗江選手に対して直接謝罪をさせて頂きたいと考えております」と、パワハラの被害者である宮川選手へ謝罪する意向を示した。

わずか2日前までは宮川選手へ徹底抗戦する構えだった。塚原夫妻のパワハラ問題が浮上したのは8月29日。自身への暴力行為で速見佑斗コーチが協会から処分を受けたことに関し宮川選手が記者会見を開き、その場でパワハラ行為を受けたことを告発した。30日に日刊スポーツの取材に千恵子氏は「悪いことはしていないし、宮川が勝手に言っていること。お金を使ってでも勝てるところまでやる。意地はあります」と発言。31日に2人の連名で出した文書でも宮川選手の発言について否定するなど、対決姿勢を示していた。

だがこの日は一転、「宮川選手を深く傷つけてしまったことは許されるものではない。取り返しのつかないこと」などとパワハラをほとんど認める形となった。宮川選手の会見以降2人は厳しい立場に置かれている。宮川選手の発言を「全部うそ」と言った光男氏に対し、日本協会の具志堅幸司副会長は「大変に残念」と遺憾の意を表明。また田中理恵氏ら女子のOB、男子の現役選手もSNS上で宮川選手への支援を表明。31日の“反論”文書も世間のバッシングに火をつけた。今後、塚原夫妻は日本協会が立ち上げた第三者委員会の調査に全面的に協力するとしている。今回の平謝りは、調査や2人の処遇にどう影響してくるのか。

20年東京五輪まであと2年弱。団体の五輪枠がかかる世界選手権(10~11月、カタール)が控えた時期に騒動が起こったことについて、代表候補の選手らに対し「落ち着いて練習できない状況を招き多大なるご迷惑をおかけしている」とわびた。また、国民に対してもわびるとともに、「私たちが言う立場ではないかもしれませんが、どうか日本のスポーツ、日本の体操、そして日本の誇りといえる各選手を応援して頂ければ」とした。