今、日本のセーリングが熱い! 特に、全長4メートル70センチから470級と呼ばれるクラスは、過去、最も世界に近い層の厚さを誇る。8月の世界選手権同クラスで、女子の吉田愛、吉岡美帆組(ベネッセ)が日本女子史上初の金メダルの快挙。男子では磯崎哲也(エス・ピー・ネットワーク)、高柳彬(日本経済大)組が銀メダルとなった。アジア大会でも両ペアが金メダルだ。

そして、東京五輪実施全競技の中で、最初のテスト大会として行われた今大会。同五輪のセーリング会場で開かれた大会で、W杯史上、日本男子初のチャンピオンが生まれた。8月の世界選手権6位で、ペアを組んで、わずか1年目の岡田奎樹(22=トヨタ自動車)、外薗潤平(27=JR九州)組だ。岡田が「本当にうれしい。この金をステップアップにしたい」と言えば、外園も「まだまだ向上できる」と手応え十分だ。

この日、レースができる十分な風が吹かず、男女の470級のメダルレースは中止となった。これまでの8レース終了時点での順位が最終順位となった。岡田、外園組は、2位以上が半分の4レースと安定して上位に食い込み、初の金メダルを獲得した。

昨年の全日本選手権で、即席ペアながら、最後のメダルレースで逆転し、ロンドン五輪の金メダル、オーストラリア組を抑え優勝した。当時、早大の学生で、日本で初めてジュニア470級世界王者となった岡田が、経験豊富な社会人と組みたいと外園に声をかけた。お互いに「気を使わないところがいい」。

スキッパーの岡田が、クルーの外園の5歳下と、かじを取り決断を下すスキッパーが年下という珍しいペアだ。世界最高の経験を糧に、五輪本番では「もちろん金です」と、し烈な代表争いを制し、世界の頂点を目指す。