11月の全日本ジュニア選手権で2位に入った佐藤駿(14=埼玉栄中)が、冒頭で4回転トーループを決めた。シニアの大会では羽生が15歳、宇野が16歳で初めて決めた4回転ジャンプを14歳で成功。残りの2つは着氷で乱れ、演技終了後は悔しそうに天を仰いだが、観客を沸かせた。

生まれは仙台。羽生も通ったスケートリンクで5歳から競技を始めた。11年東日本大震災で被災し、一時埼玉に引っ越してから再び仙台に戻り、今春から父の転勤先となった埼玉・上尾市のリンクで競技を続けている。この夏に初めて4回転に成功すると、全日本ジュニアのフリーで4回転トーループに成功。今大会には、同選手権で2位に入ったことで参加資格を得た。

SPに4回転を導入したことについては「入れないと勝てないので」と気持ちは強い。この日は4回転トーループに成功したが、実は4回転サルコーも練習しているという。本格的な挑戦はこれからだが「来シーズンは入れていきたい」と試合での導入を視野に入れる。規格外な14歳が4年後の北京オリンピックまでに化ける可能性は十分に秘めている。

将来の期待は高まるが、本人はいたって冷静だ。この日の演技は「他のジャンプは跳べなかったので、フリーで巻き返したいです」と目の前のことに集中する。SP16位で迎える明日24日のフリーで全てのジャンプをそろえ、納得の演技を披露する。【佐々木隆史】

◆佐藤駿(さとう・しゅん)2004年(平16)2月6日、宮城県仙台市生まれ。5歳でスケートを始め、羽生結弦も通ったアイスリンク仙台に通う。15年全日本ジュニア選手権15位、17年東日本ジュニア選手権優勝、全日本ジュニア選手権6位。18年全日本ジュニア選手権2位。尊敬する人は羽生結弦。趣味は読書、音楽鑑賞。157センチ。血液型はO。