初出場、初Vを狙う全国高校総体(インターハイ)チャンピオンの開志国際(新潟)は、正智深谷(埼玉)に101-79の100点ゲームを決めた。先発ただ1人の1年生で、父がナイジェリア人のSGジョーンズ大翔(たいが)が、第3クオーター(Q)だけで10得点(通算17得点)の大暴れを見せた。故郷・埼玉県のチームを相手に、非凡な得点能力を見せつけた。

手足を縛られたような緊張から解き放たれた後半に、SGジョーンズは爆発した。第3Qに3点シュート2本を含む10得点。自陣ゴール下からCジョフ・ユセフ(2年=ガンビア人留学生)が投げた超ロングパスを、相手陣奥深くでキャッチして、持ち前の速攻も決めた。「前半は緊張して自分のプレーができなかった」と1、2Qは2得点に終わったが、余分な力が抜けた3、4Qの後半に15点を稼いだ。

富樫英樹監督(56)はこう話した。「もっとやれ、もっとやれ、ですよ。ジョーンズがボールを持つたびに小声で『打て、打て』と言っていた」。それだけ、指揮官は1年生に期待して先発5人に置いていた。試合を通じて3点シュートを7度試み、決めたのは3本と、思い切りの良さは1年生の特権だ。「ベンチで、いつものフォームのジャンプシュートではない、と言われたので後半は3点シュートに切り替えた」と、シュートの選択を自在に変えられるオールラウンダーだ。

ジョーンズは埼玉県の川口市立神根中出身。正智深谷のスタメンの中には、中学時代の先輩と同級生が2人交じっていた。だからこそ、立ち上がりは緊張に縛られた。試合前には「どっちのマーカーになる?」と聞かれ、同級生だったSG太田誠(1年)をマーク。「今でもLINEする仲」の元同僚を6点に抑え圧倒した。「ベンチ外の3年生の思いを背負っている」と責任を感じてプレーするジョーンズは、続けて言った。「楽しんで優勝したい」。試合開始直後の緊張はもう、完全に消えていた。【涌井幹雄】