3位決定戦に臨んだ帝京長岡(新潟)は、桜丘(愛知)に65-76で敗れた。42-57の15点差で迎えた第4クオーター(Q)には11点差に縮めたが、銅メダルに届かなかった。PG神田龍一(3年)が21得点して敗戦の中にも存在感を見せた。大会中にPF神田旦陽(あさひ=2年)が左膝故障、SG品川廉椎(れつ=3年)も右足首捻挫と先発メンバーに故障者が続出したが、全員でカバーして踏ん張った。

最後の得点シーンは、帝京長岡らしさがたっぷり詰まっていた。残り時間1分を切ってチームのホットラインが通じた。PG神田龍のロングパス1発でCケイタ・カンディオウラ(3年=マリ人入学生)が65点目のゴールを決めた。1回戦から登場しての3位決定戦は6日間で6試合目。底をついたエネルギーを燃やした神田龍のこん身のパスだった。「高校3年間の集大成として気持ち良くプレーできた」。21得点、3スチールとコートを走った。

3回戦でPF神田旦が左膝故障、準決勝ではSG品川が右足首捻挫で先発のコートから消えた。連戦に満身創痍(そうい)のチームで神田龍も両足に痛みを抱えていた。前夜は電気治療、マッサージ、ストレッチ。入念なケアも「コンディションは良くなかった」。それでもこの日、準決勝で施していたテーピングを取り去ってコートに立った。「テーピングに頼りたくない。最後は気持ちでした」。

6月の県高校総体決勝では開志国際に54-75で完敗した。チームは手痛い敗戦から一皮むけた。「試合メンバーの自覚がない。練習は100%でやろうと話し合った」と神田龍は言う。チーム一丸となると、お家芸のしつこいディフェンスが復活。5年連続5回目の出場で初の決勝進出こそ逃したが、3年連続での4強入りを果たした。柴田勲監督(49)は「ポテンシャルが高くなくても、チームが1つになれば、こういうゲームができる」と最後まであきらめない選手の姿勢を評価した。

神田龍は来春、関東大学リーグ2部の東洋大に進学する。目標はBリーガー、PG富樫勇樹(25=千葉)とPG並里成(29=琉球)。明確な目標が定まっている。「自分たちは先輩たちを超えられなかった。後輩たちは、この成績を超えて日本一になって欲しい」。1、2年生にも明確な目標を託した。【涌井幹雄】