<テニス:全豪オープン>◇21日◇メルボルン・メルボルンパーク◇男子シングルス4回戦

錦織の奇跡的な逆転勝ちの伏線は、第3セットの第9ゲームにあった。お互いに1ブレークずつの4-4で迎えたサービスゲームで、錦織は0-30と追い込まれた。次のポイントは第1サーブが決まらず、第2サーブはワイドに切れるスライス。カレノブスタは読んでいたかのようにフォアでストレート(錦織のバックサイド)を狙ったがネット。15-30とした錦織は、その後3ポイントを連取してサービスをキープ。最終的にこのセットをタイブレークでものにした。

カレノブスタにとってはマッチポイントにも等しかった。ブレークすれば次は自分のサービスゲーム。ストレート勝利がちらついて力が入ったのか。このミスは尾を引いた。それ以降、フォアのクロスからストレートへの切り返しが打てなくなった。錦織は戦いながらこの情報を入手し、サーブもストロークも相手のフォアに集める。もうストレートはない。返ってくるクロスを逆にストレートに切り返し活路を開いた。

錦織は第2サーブをたたかれ、ストロークでも明らかに押されていた。ただ、負けゲームの流れは相手の1本のミスをきっかけに変わった。その心理とプレーの変化を察知し、プレーに生かした錦織の洞察力と対応力に驚かされた。(亜大教授、テニス部総監督)