スノーボード・ハーフパイプで冬季五輪連続銀メダルの平野歩夢(20)が、東京五輪出場に向けて好スタートを切った。予選を3位で突破した平野は、決勝でも高さのある安定したトリックを披露。2本目に66・8点の高得点を出して3位に入った。

優勝は昨年のアジア大会で金メダルで世界選手権14位の笹岡健介(20)、2位は世界選手権代表の永原悠路(13)。ストリートとの両種目で代表入りを目指す池田大亮(18)は平野と66・8点で並んだが、通常切り捨ての小数点以下2ケタの差で4位に終わった。平野は66・87、池田は66・80だった。女子は世界選手権5位の岡本碧優(みすぐ、12)が優勝。小川希花(きはな、18)が2位、10歳の開心那(ひらき・ここな)が3位に入った。

今大会は五輪ランキング対象大会(未定)に派遣する選手を決めるための強化候補選手選考会を兼ね、5月の日本選手権(新潟県村上市)との総合成績上位3人が強化候補選手となる。また、日本選手権までに対象大会があった場合は、今大会の順位をもとに派遣選手を決める。

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平野の体がパークの縁から大きく空に飛びだす。体を1回転半させてコンクリに着地して再び滑り降りる「540(ファイブフォーティ)」。来場した「歩夢ファン」から歓声が湧き、コンビプールをシャッター音が包む。同点で並んだ池田を、小数点以下2ケタの僅差で逆転。「まさか3位に入れると思っていなかった」と、照れた。

昨年11月に東京五輪挑戦を表明し、本職のスノーボードの合間に練習をしてきた。今年初めに右手甲を骨折し、満足な練習はできていない。「本格的にやったのは1、2カ月前から」。技の難度は高くないが、スノボで培った体幹の強さとバランス感覚を披露。アジア王者の笹岡には離されたが、永原や池田ら昨年の世界選手権組に割り込んだ。

「さすが平野。スノボでの縦の動きにパーク全体を使う横の動きが加われば、まだまだ伸びる」と、日本代表の西川隆監督。スノーボードの元日本王者でもある同監督は「今いる選手が刺激を受けるし、レベルアップにつながる」と、男女ストリート、女子パークに比べて世界との差が大きい男子パークに期待した。

平野にとって、スケートボードの大会は小学校低学年以来。「10数年ぶりだったけど、強い選手もたくさんいて楽しかった。勉強にもなった」と控えめに話した。それでも、日本ローラースポーツ連盟が世界の大会に選手を派遣するための「選考会」での3位は自信にもつながる。「これが、東京五輪へのきっかけになればいい」と意欲的に話していた。【荻島弘一】