国際水連が新設した競泳のチャンピオンズシリーズ(CS)第1戦(中国)に出場し、男子200メートルバタフライで1分56秒44で優勝した坂井聖人(23=セイコー)が29日、羽田空港に帰国した。

今大会はメダリストや世界記録保持者が招待され、4人だけで泳ぐ賞金レース。プールの両側がシートで覆われた状態で泳いだ坂井は「何か不思議な感じ」と感想を語った。

長い間肩の状態に悩まされている坂井。今月行われた日本選手権、東京6大学対抗戦でも精彩を欠いた。「泳ぎが小さくなっている。左はしっかりかけるけど、右はなかなか内側に入らない」と試行錯誤が続いていた。リハビリを続けながら試合に出場したが、ラスト50メートルで失速するシーンが目立った。コーチと話し「原因不明のままリハビリをするのではなく、まずは可動域を広げてから」と治療に専念。「少しずつ左右のバランスが良くなった」と手応えを感じながら挑んだ今大会で優勝。タイムは平凡だったものの「久しぶりにしっくりきた。気持ち良く泳げた」と納得の表情を見せた。

久しぶりの海外でのレース。隣で泳いだロンドン五輪金のチャド・レクロー(南アフリカ)にも勝利した。前半抑えながら入り、最後までバテず、納得のいくレース展開で「緊張したが自信になった」と手応えを感じた。5月のCS第2戦(ブダペスト)、ジャパンオープン(東京・辰巳)へも「勝ちにこだわりたい」と力強く語った。賞金1万ドル(約110万円)も獲得。「ご褒美に服でも買いたいですね」と笑顔を見せた。リオ五輪銀メダリストの復活の時が近づいてきた。【松熊洋介】