世界ランク7位錦織圭(29=日清食品)が1933年の佐藤次郎以来、日本男子86年ぶりの全仏オープン4強をかけて、同大会90勝2敗、歴代最多11度の優勝を誇るラファエル・ナダル(33=スペイン)と激突する。過去の対戦成績は錦織の2勝10敗。全仏では13年大会の4回戦で対戦しストレート負けしている。難敵との過去12戦の激闘を写真で振り返る。

 

○2008年6月12日・アルトワ選手権3回戦


男子テニスアルトワ選手権・4日目男子シングルス3回戦でナダルと対戦、フルセットの末に敗れた錦織圭=2008年6月12日、英国・ロンドン(AP=共同)
男子テニスアルトワ選手権・4日目男子シングルス3回戦でナダルと対戦、フルセットの末に敗れた錦織圭=2008年6月12日、英国・ロンドン(AP=共同)

錦織が世界のナダルを驚かせた! 世界ランク113位の錦織圭(18=ソニー)が、同2位のラファエル・ナダル(スペイン)にフルセットの末、1―2で惜敗した。前週、1セットも落とすことなく全仏4連覇を達成したばかりの強豪を相手に、4―6、6―3、3―6と大健闘。「打ち合いでエースを取れたり、主導権を握れたことが何回かあった。今大会で1番いいプレー。自信がついた」。試合後はナダルから「試合を読むのがうまいし、フォアハンドは1発で決める力を持っている。非常に才能があるし、いずれトップ10かトップ5に入ってくる選手だ」絶賛され、近い将来のライバルとして認められた。


○2010年6月22日・ウィンブルドン1回戦

ウィンブルドンテニス・2日目・男子シングルス1回戦 男子シングルス1回戦でナダルと対戦する錦織圭=2010年6月22日(共同)
ウィンブルドンテニス・2日目・男子シングルス1回戦 男子シングルス1回戦でナダルと対戦する錦織圭=2010年6月22日(共同)
ウィンブルドンテニス・2日目・男子シングルス1回戦 男子シングルス1回戦でラファエル・ナダルと対戦し、試合中に悔しそうな表情を見せる錦織圭(共同)
ウィンブルドンテニス・2日目・男子シングルス1回戦 男子シングルス1回戦でラファエル・ナダルと対戦し、試合中に悔しそうな表情を見せる錦織圭(共同)

日本男子として96年松岡修造以来14年ぶりにセンターコートに立った錦織圭(20=ソニー)は、世界王者に敗れた。世界1位のラファエル・ナダル(24=スペイン)相手に2−6、4−6、4−6でストレート負け。「レベルの差を感じた。やらなきゃいけないことが多いと感じたことが悔しい」。しかし、持ち味の変幻自在なプレーで、テニスの聖地を埋めた満員の観衆を沸かせた。


○2011年3月26日・ソニーオープン2回戦

ソニー・エリクソン・オープンは26日、米フロリダ州マイアミで行われ、男子シングルス2回戦で錦織圭(ソニー)が世界ランキング1位のラファエル・ナダル(スペイン)に4-6、4-6で敗れた。


○2012年3月27日・ソニーエリクソンオープン4回戦

テニスのソニー・エリクソン・オープンは27日、米フロリダ州マイアミで行われ、日本男子史上最高の世界ランキング16位の錦織圭(フリー)はシングルス4回戦で同2位のラファエル・ナダル(スペイン)に4-6、4-6で敗れ、ベスト8入りはならなかった。

 錦織は力強いストロークと多彩なショットで善戦したが、第1、第2セットともナダルのサービスゲームをブレークした直後のサービスゲームを落として競り負けた。ナダルと2時間10分の大熱戦を演じたが、番狂わせはならなかった錦織は「充実感はあるが、ブレークしてチャンスがあったのに、後のゲームを取れないのは悔しい」と唇をかんだ。


○2013年6月3日・全仏オープン4回戦

世界15位の錦織圭(23=日清食品)の自身4大大会2度目のベスト8入りはならなかった。今大会9年間で1敗しかしていない赤土の王者ラファエル・ナダル(27=スペイン)に4-6、1-6、3-6で敗れ、日本男子として1933年(昭8)佐藤次郎以来80年ぶりの全仏8強の快挙を逃した。

ナダルの鋭角に落ちる強烈なスピンボールに対し、速い攻撃と同じスピンボールをまぜるプレーで対抗した。しかし、ポイントは競るが、ナダルのサービスゲームを破れない。逆に、やや力が入り、ミスが重なった第1セットの第5ゲーム。自分のサービスゲームを落とし、そのまま最後まで流れは戻らなかった。スコア上は完敗したが、大半が濃密なショットの応戦。錦織は古傷の腹筋に痛みは残るが「もうケガをしてもいいと思った」と、サーブのスピードを10キロほど上げて挑んだ。世界最高のリターンを持つ相手にも十分通用していた。

男子シングルス4回戦でナダルに挑戦する錦織圭=パリ(ロイター)
男子シングルス4回戦でナダルに挑戦する錦織圭=パリ(ロイター)
3日、全仏オープンの男子シングルス4回戦でナダル(右)に敗れ握手する錦織(AP)
3日、全仏オープンの男子シングルス4回戦でナダル(右)に敗れ握手する錦織(AP)

○2014年1月20日・全豪オープン4回戦

世界17位の錦織圭(24=日清食品)が、4回戦で敗れた。同1位のラファエル・ナダル(スペイン)に6-7、5-7、6-7のストレート。しかし、世界の頂点に君臨し、4大大会13度の優勝を誇る王者と、互角以上の打ち合いを見せ、ストレートながら3時間17分の熱戦を繰り広げた。センターコートから去る黄色いウエアの背中は、悔しさでいっぱいだった。その背中を、満員の観客は総立ちで、ナダルの倍以上の拍手で送り出した。錦織は「勝てるかどうかは別にして、少なくとも1セットは取るチャンスがあった」。少し世界に近づいた手応えと、勝てなかった悔しさがない交ぜになり、心はかきむしられた。

ナダルと死闘を演じた錦織(ロイター)
ナダルと死闘を演じた錦織(ロイター)
錦織を破りガッツポーズするナダル(ロイター)
錦織を破りガッツポーズするナダル(ロイター)
善戦及ばすナダル(左)に敗れた錦織(ロイター)
善戦及ばすナダル(左)に敗れた錦織(ロイター)

○2014年5月11日・マドリードオープン決勝

世界王者に迫った !  12日、最新世界ランキングで、日本男子として初めてトップ10入りし、アジア男子最高位と並ぶ9位になった錦織圭(24=日清食品)が、同1位ラファエル・ナダル(27)に6-2、4-2と途中までリードを奪いながら、でん部の痛みが悪化。最終セット0-3で棄権した。「自分の人生で最高のプレーをしていた。それを棄権なんて、すごくつらい」。悩みに悩んだ末の決断だった。

途中棄権した錦織(右)はナダルに声を掛けられる(ロイター)
途中棄権した錦織(右)はナダルに声を掛けられる(ロイター)
決勝を途中棄権し、ナダル(右)に声を掛けられる錦織(共同)
決勝を途中棄権し、ナダル(右)に声を掛けられる錦織(共同)

●2015年8月14日・ロジャーズカップ準々決勝

ついにナダルの厚い壁をぶち壊した !  世界4位の錦織圭(25=日清食品)が、過去7戦全敗で4大大会14度の優勝を誇る同9位のナダル(29=スペイン)に6-2、6-4と快勝し、ベスト4に進出。ドロップショットやロブなど、遊び心はいらない。ベースラインから下がらず、速攻でストロークを畳み掛けた。5本以下のラリーで奪った得点がナダルの26に対し錦織は39。短期決戦で、ナダルに守るスキを与えなかった。08年初対戦以来、8年目でつかんだ初勝利に拳を突き上げた。「長かったが、ついに勝てた」。これでナダルを含め“ビッグ4”と呼ばれるジョコビッチ(セルビア)フェデラー(スイス)マリー(英国)の全員から勝ち星を挙げた。

男子シングルス準々決勝でリターンする錦織(AP)
男子シングルス準々決勝でリターンする錦織(AP)
男子シングルス準々決勝でナダルを破り、ガッツポーズする錦織(AP)
男子シングルス準々決勝でナダルを破り、ガッツポーズする錦織(AP)
ナダル(右)に勝利し握手する錦織(AP)
ナダル(右)に勝利し握手する錦織(AP)

○2016年3月18日・BNPパリバオープン準々決勝

男子シングルス準々決勝で第5シードの錦織圭(26=日清食品)は第4シードのラファエル・ナダル(スペイン)に4-6、3-6で敗れ、準決勝進出はならなかった。 序盤のいいリズムは長くは続かなかった。錦織は、堅い守備と安定したサーブで耐えたナダルに徐々に流れを引き戻され、ストレート負けした。「少しずつ彼のボールが深くなってきて展開が変わった。リターンで攻められなかった」と相手の勝負強さを認めた。


○2016年4月26日・バルセロナオープン決勝

世界6位の錦織圭(26=日清食品)が3連覇を逃した。同5位のラファエル・ナダル(スペイン)に4-6、5-7のストレートで敗れ、14年から続いていた大会の連勝は14で止まった。しかし、今季のクレー初戦で3年連続の決勝に進出。表彰式で敗れてたたずむ錦織の顔には、無念さがにじんでいた。決勝での敗退は、栄冠との落差を目の当たりにするだけに、最も嫌なこと。「相手を倒すのに、もう少しまで近づいていたのに…。悔しさが大きい」。手応えがあっただけに、敗戦はこたえた。

ナダルとの決勝でリターンする錦織(撮影・PIKO)
ナダルとの決勝でリターンする錦織(撮影・PIKO)
ポイントを奪いガッツポーズするナダル(撮影・PIKO)
ポイントを奪いガッツポーズするナダル(撮影・PIKO)
大会3連覇を逃した錦織はコートでうつむく(撮影・PIKO)
大会3連覇を逃した錦織はコートでうつむく(撮影・PIKO)

●2016年8月14日・リオデジャネイロオリンピック3位決定戦

男子シングルスの3位決定戦で世界ランク7位の錦織圭(26=日清食品)が、同5位のラファエル・ナダル(スペイン)に6-2、6-7、6-3の2時間49分で勝ち、銅メダルを獲得した。日本勢のメダルは、20年アントワープ五輪で熊谷一弥が男子シングルスで銀、熊谷と柏尾誠一郎がダブルスで銀を獲得して以来96年ぶり。普段のツアーとは違い、賞金も世界ランクのポイントもない戦いで国を背負って6試合を戦い抜いた。五輪のセンターコートで96年ぶりに日の丸が揚がった。重圧から解放された錦織は、柔らかな表情で日の丸を眺めていた。「自分の国のために戦うのは本当に楽しかった。素直にうれしい」。4大大会や通常のツアーとは異なった充実感に包まれていた。

リターンする錦織(撮影・PIKO)
リターンする錦織(撮影・PIKO)
男子テニスシングルス3位決定戦 ナダル戦でリターンする錦織(撮影・松本俊)
男子テニスシングルス3位決定戦 ナダル戦でリターンする錦織(撮影・松本俊)
銅メダルを獲得し、日の丸を掲げる錦織(撮影・松本俊)
銅メダルを獲得し、日の丸を掲げる錦織(撮影・松本俊)
銅メダルが決まり、スタンドのスタッフとタッチする錦織(撮影・PIKO)
銅メダルが決まり、スタンドのスタッフとタッチする錦織(撮影・PIKO)
表彰式で銅メダルを手に笑顔を見せる錦織(撮影・PIKO)
表彰式で銅メダルを手に笑顔を見せる錦織(撮影・PIKO)

○2018年4月22日・モンテカルロマスターズ決勝

日本のエース、錦織圭(28=日清食品)は22日の決勝で、大会11度目の優勝を飾った世界1位のナダル(スペイン)に3-6、2-6で敗れた。決勝までナダルの倍の128ゲームを戦った疲労により「最後はエネルギーが残っていなかった」。いくら赤土が得意とはいえ、右手首のけがから復帰して、まだ3カ月だ。その中で、球足が遅く、ラリーが長引くタフな赤土のマスターズで準優勝したのは見事だった。「けがをしてから、こうやってマスターズ決勝に戻れた。自信は大きい」。

シングルス決勝でラファエル・ナダルと対戦する錦織(ロイター)
シングルス決勝でラファエル・ナダルと対戦する錦織(ロイター)
シングルス決勝でラファエル・ナダルと対戦する錦織(ロイター)
シングルス決勝でラファエル・ナダルと対戦する錦織(ロイター)
シングルス決勝でナダルと対戦する錦織(共同)
シングルス決勝でナダルと対戦する錦織(共同)
男子シングルス決勝 ナダルと対戦する錦織(撮影・PIKO)
男子シングルス決勝 ナダルと対戦する錦織(撮影・PIKO)