世界77位の西岡良仁(23=ミキハウス)が、日本男子のエースを破った。日本男子NO・1とNO・2の初対決は、西岡が同5位の錦織圭(29)に7-6、6-4のストレートで勝ち、3回戦に進んだ。3回戦では同38位のデミノー(オーストラリア)と対戦する。世界1位に復帰した女子の大坂なおみ(21)も2回戦を勝ち上がった。

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あこがれのヒーローを破った瞬間、西岡は喜びを爆発させた。ラケットを放り投げ、両手でこぶしを握りしめ、全身で歓喜に浸った。「人生で最も大きな瞬間。最高の勝利だった」。これが西岡にとってトップ10からの初勝利。多くのことを学んだ錦織に、勝利で恩返しした。

錦織より8センチも低い身長170センチ。ツアーの中では最も小柄な1人だが、多彩な球種と、相手に読ませない配球で勝ち上がる。サーブの速度は第1サーブで平均時速160キロ前後、第2サーブだと130キロ前後。それでも、身長190センチ前後で、200キロのサーブをたたき込む猛者と対等に戦ってきた。

この日も球種とコースを組み合わせたサーブで、世界一と言われる錦織のリターンを封じ込んだ。「自分のサーブをどれだけコントロールできるかが重要だった」。加えて、苦手だったフォアの攻守の切り替えが向上し、武器の錦織のフォアと互角に打ち合った。

1回戦は勝利への意欲が動きを硬くさせた。2回戦の前日は「眠れなかった」と明かす。錦織と同様に、盛田テニス基金の援助を受け、IMGアカデミーにテニス留学した。「彼(錦織)は日本のヒーロー」。常にヒーローの背中を追いかけてきた。

昨年9月の中国・深センで、ツアー初優勝を遂げた時「僕の名前は錦織じゃなく西岡」と笑いを誘った。この日も「明日の朝のニュースを見るのが楽しみ。多くのファンが注目してくれる」。世界のテニス界で最も小柄な西岡が、日本のヒーローを超える日も遠くない。