レバンガ北海道が開幕4連勝を決めた。島根(西地区)に75-53の今季最少失点で勝利した。開幕直前に今季限りでの現役引退を表明した折茂武彦(49)が、途中から今季初出場した。5分19秒のプレーで2本のシュートも無得点。それでも4005人の会場を沸かせ、チームの快進撃とともに、レジェンドのラストシーズンも幕を開けた。

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第4クオーター(Q)残り5分19秒。折茂が開幕4試合目でついに、コートに立った。放ったシュートは2本。左サイドでドリブルから態勢を崩しながら、もう1本はフェイクを入れてからのミドルシュート。いずれもリングにはじかれ、ファンの歓声はため息に変わった。ファンの声援には感謝している。開幕4連勝にも喜んだが、引退表明後初のプレーには「正直、微妙。試合勘もないし、これで決められるわけがない。難しい」。率直な思いを口にした。

プライドがある。前日まで3試合は最大で6点差勝利とすべて接戦。この日登場した時は22点の大量リードだった。「気を使われている部分があると思う。一プロ選手として悔しい気持ちもある」。チーム内競争が激しい今季、レジェンドとはいえ出場の保証はない。重要な場面でコートに立てないもどかしさもある。

折茂が与える影響は大きい。ハーフタイムではシュートを打ちながら若手に声をかける。昨季1試合平均2・2点の内田旦人(23)はこの日11得点と活躍した。「折茂さんにはいつも『良い意味で試合を荒らしてこい』と言われている」。チーム得点王のマーキース・カミングス(30)が欠場で連勝ストップのピンチも、ベテランの言葉に乗せられて躍動した。

次はアウェーで東地区のSR渋谷と戦う。「自分の気持ちはしまっておいて、チームの勝利は第一というのはブレない。変わらずに練習から続ける。それしかない」。あくまでも戦力としてこだわり続け、ラストシーズンを駆け抜ける。【西塚祐司】