第99回全国高校ラグビーは、27日に東大阪市の花園ラグビー場で開幕する。日刊スポーツではWEB連載として、今秋のW杯で活躍した日本代表選手の母校8校を紹介する。第5回は京都成章。フッカー坂手淳史(26=パナソニック)が卒業した強豪で、京都大会では伏見工から名称変更になった京都工学院に勝利し、花園出場を決めた。

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「思いっきり」-。

湯浅泰正監督(55)が掲げるチームスローガンは、至ってシンプルだ。その理由は、過去の経験にある。

「勝ちたいとか、勝たなければいけないと思うと、力が発揮できず負けた苦い思い出がある。持ってる力を出すためです」

「思いっきり」できているときは、ハーフタイム中に監督が話をする前に選手同士が課題を話し合っているという。

「ゾーンに入っている状態やと、僕がいることも忘れてみんなでしゃべっている。1人1人が課題をシェアしている。こういう時は強い。少しは、俺にもしゃべらせろと思う」と苦笑しつつも、そんな頼もしい姿がチームの理想でもある。

今季の特徴は大型FWだ。高校日本代表候補の山本嶺二郎(3年)と本橋拓馬(2年)、岡大翔(3年)の3本柱のロックは、190センチ超。山本は「スクラムの時に相手に威圧感を与えられる」と自信を見せる。三木主将は「デカイだけ、強いだけじゃなく、モールをどう崩すかなど理論付けられています」と話した。

Aシードである京都成章の初戦は30日。尾道と仙台育英の勝者と対戦する。湯浅監督は「Aシードのことは忘れよう。シードは抽選のやり方を決めるもの。『Aシードだから強い』(という考え方)が一番邪魔になる」というメッセージを選手たちに伝えた。「1戦1戦勝負して5回勝つ。このトーナメントで上を見たら負ける」。悲願の日本一へ、気を引き締めた。【南谷竜則】