見上げる空にロマンがある。東海大大阪仰星のフランカー土岐爽和(3年)は大きな夢を持つ。実業家の前澤友作氏が23年に月周回旅行を予定している話題を向けると「面白そうですよね!」と声をはずませた。

将来は宇宙航空研究開発機構(JAXA)で研究職に就きたいという。「ゆくゆく一般の人でも行ける技術が発達すればいい。でも僕は人が行くよりも、宇宙を明確にしていく方が気になります」。高校では国公立大を目指す総合進学コース1類で学ぶ文武両道だ。花園期間中は合宿だが、1月のセンター試験を控え、数学、英語などの参考書も持ち込む。「いまは、メインは花園。みんながゆっくり休んでいる時間にちょっと単語を見る」と笑った。

キッカケは中学理科の授業だった。先生に「ボイジャーのゴールデンレコード」の話を聞いた。77年に宇宙へ打ち上げられた探査機ボイジャーには世界各国のあいさつや自然の音、動物の声などを記録したレコードを積んだ。地球外生命体に地球の生命や文化を解読してもらう“メッセージ”だった。土岐少年は心が躍った。「天文の道に進みたいなと」。進む道を決めた。

難関国立大を受験予定だが、もう1つ揺るがない思いがある。「正直、ラグビーがなかったら、僕、ちょっとしんどい。ラグビー好きでラグビーがない人生は考えられない」。この日の関商工(岐阜)戦。前半12分に敵の反則直後、飛び出して間隙(かんげき)を突き、ハンドオフでかわしてトライした。「ペナルティーになってスペースが見えました」。チームに勢いをもたらす、この日2トライ目だった。大学でもピッチに立つつもりだ。仲間と痛みを分かち合いながら、必死にボールをつなぎ、トライを目指す。ラグビーは宇宙人にどう映るのだろう。【酒井俊作】