日本卓球協会は6日、都内で会見を開き、男女各3人の東京オリンピック(五輪)代表を発表した。注目の団体要員となる3人目には女子が初出場となる平野美宇(19=日本生命)、男子は4大会連続となる水谷隼(30=木下グループ)を選出。予定されていなかった混合ダブルスのペアもサプライズ発表され、水谷と伊藤美誠(19=スターツ)に決まった。

シングルスは、1月発表の世界ランキング日本人上位2人が順当に選ばれ、男子が張本智和(16=木下グループ)と丹羽孝希(25=スヴェンソン)、女子が伊藤と石川佳純(26=全農)となった。

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悔し涙を流した4年前が、無駄にはならなかった。平野は16年リオデジャネイロ五輪で落選。それを乗り越え挑んだ昨年の東京五輪選考レースで、粘り切れたからこそ、つかんだ初五輪切符となった。「大変うれしく思います。金メダルを目指し、石川選手、伊藤選手と力を合わせて、チームに貢献したいです」とコメントした。

昨年12月、世界ランキングポイントで日本勢2位の平野が65点リードする状況で、同3位石川との北米オープン決勝を迎えた。直接対決に敗れ、逆に135点のリードを許した。その後のグランドファイナル(中国)でも巻き返せず、シングルス代表の望みが絶たれた。会見場で人目もはばからず泣いたが、1年間の過酷な選考レースを終え、吉報が届いた。

リオ五輪では悔しい思いをした。代表を逃した上、同い年の伊藤が団体戦の代表に選ばれた。平野はサポートメンバーとして、選手団に同行したが球拾いや、伊藤の練習相手など裏方に徹した。笑顔で振る舞い、チームの下支えに尽力。だが当初、本音は違った。「一生懸命に笑った。気を緩めると涙がこぼれそうだった」。悔しさをかみ殺し、この経験をプラスに変えようと、意識改革した。

代表の裏方さん、スタッフとも積極的に話した。母真理子さんは「内気な性格で、一部の人や既に関係ができている人としか話さないところがあった」と、その娘の変化に驚いた。帰国後、平野は「サポートする人の大変さ、ありがたみが分かった。いろいろな人の気持ちに立たないといけない」と話し、内面から大きく成長した姿を見せた。

「ぎりぎりの厳しい五輪選考を戦い、絶対に逃げないのはリオの経験があるから」と真理子さんは話す。7歳で掲げた「五輪で金メダル」の夢に「1度もぶれず、逃げずに戦ってきた美宇を尊敬する」と、挑戦権を得た娘をたたえた。4年前、羨望(せんぼう)のまなざしで見つめた五輪のコート、それも特別な東京の舞台に、平野が満を持して立つ。【三須一紀】

▽石川(3大会連続の五輪へ) 最年長なのでチームワークを大事にしていきたい。1年間戦い抜いた3人で戦うので、お互い認め合っていると思う。その力を最大限発揮したい。

▽丹羽 勝ちにこだわり東京五輪代表を目指してプレーしてきた。2大会連続のメダル獲得を目指して一層努力し、良い結果が残せるように頑張る。