世界中の人たちが、新型コロナウイルスの感染拡大に悩まされている。新連載「ウイルスと闘う世界の国から」では、主な国の生活やスポーツなどの事情を、現地で暮らす人たちの目線で紹介する。

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トルコの新型コロナウイルス感染者数はこの数日で急激に増えました。21日の発表では感染者947人、死者21人となり、22日から65歳以上の市民の外出が禁止されました。数日前からカフェ、レストランなどの営業も中止となり、公共交通機関や広場に人は見かけず、いよいよその脅威が迫ってきたという緊張が感じられるようになりました。

この状況でも仕事の依頼があり、毎日外出しています。いつも満員のバスや地下鉄も座って通勤でき、数日前からマスクを着けている人を見かけるようになりました。乗り合いバスでは、マスクを着け、医療用の薄手のゴム手袋をつけて料金の受け渡しをする運転手も増えています。

トルコは人と人との距離が近く、知り合いでもないのに、べったりと隣に座り、世間話をしてくる人がいつもいます。それがなくなりました。毎週末にまとめてオンラインで大手スーパーに注文をして、自宅玄関まで持ってきてもらうサービスを使っています。いつもなら好きな時間にすぐに予約できるはずが、2日待ち、それもかなり遅れての配達となりました。そこでスーパーに買い物に行くと、ある商品のコーナーがからになっていました。

それはコロンヤです。オスマントルコ時代から続く不思議な習慣で、レストランでの食事後や長距離バスの乗車時、親戚や知人宅を訪問した時など、1人1人に小瓶に入った液体を手にかけるおもてなしのサービスです。アルコールに香料が入った液体で一般にはオーデコロンといわれるものです。蚊に刺された時、貧血で気分が悪くなった時なども消毒と気付けの効果があるといわれ、長く親しまれてきました。それが消毒に効果大と大量に買い占めされています。そのため、国から65歳以上の方にコロンヤとマスクが配布されることになりました。

サッカー界にも影響は及んでいます。トルコ1部で長友佑都選手が所属するガラタサライとベシクタシュの16日のダービー戦は無観客で行われました。この試合も大きな波紋を呼び、一部の選手は「こんな状況で出場したくない」と訴え、延期を要望しました。トルコは世界でも数少ないリーグ戦を実施している国でしたが、19日についに中断が発表されました。感染者数が増えている現状では、サッカー好きが多い国民も致し方がない措置ととらえています。(オルムシュ由香通信員)