新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月の全国高校選抜に続いて、今夏の全国高校総体も史上初の中止が決まった。静岡・掛川東女子ソフトボール部の勝又基次(もとつぐ)監督(28)はこのほど、テレビ電話で取材に応じ、現在のチーム状況について語った。

9年ぶり7度目の出場が決まっていた全国選抜の中止から、約2カ月。見えない敵によって、全国総体への道も閉ざされた。勝又監督は「やっぱりか…という気持ちでした。3年生には全国を経験させてあげたかったという思いです」と、心境を語る。

悔やんでも悔やみきれない事態。それでも、選手は必死に前を向いているという。長谷川結子(ゆうこ)主将(3年)の考案で2、3年生全員が、自宅でできるトレーニング動画を撮影。「ガニアン(フランス語で勝者)リレー」と題し、リレー方式でつないだ。動画の最後には、部のテーマ「雑草魂」と記したボールに各自の思いも込められている。勝又監督は「これだけ前向きに考えて、本当にすごいと思います」と、目を細める。

全国総体の中止を受け、県高校体育連盟は県総体の開催を模索。明日11日には、何らかの方針が示される見込みだ。掛川東は、新たな目標を設定。昨年10月の県新人大会で対戦がなかった、U-18日本代表・山下千世(ちせ、3年)を擁する浜松市立(静岡)との対戦を熱望する。勝又監督は「一番強いと言われている浜松市立に勝って優勝することが、目標になっている。何とか県総体だけでもやらせてあげたい」と願った。集大成の場があると信じ、準備を進める。【前田和哉】